鰯と雑穀米のお店 『さでんかん』の訃報を聞いたのは、10月初めのこと。
朝市でお惣菜を販売してる『さでんかん』さんを見かけなくなったなぁと思ってたところでした。

一昨日の21日に「さでんかん 中村さんを偲ぶ会」が催され、私も参加しました。
新城でも若い農家さんたちを応援されていて、会には新城・豊川・豊橋の農家さんと利用者さんの多くが集いました。
会のはじめ、8月半ばに中村さんと飲み交わしたOさんのお話がありました。
その数日後に、腹痛で立ち上がれなくなってしまった中村さんは、ご友人に連絡して病院へ行かれ、そのまま緊急入院。
8月は、豊橋と新城の市に出店できない旨を連絡した中村さんご自身も、連絡を受けた方たちも、また復旧することを疑わなかったに違いありません。
入院されてすぐに見舞ったOさんが、次に病院へ行ったときは面会謝絶になっていて、9月4日に亡くなられたのだそうです。

偲ぶ会では、参加者それぞれが中村さんとの出会いや思い出を話しました。
個性的な風貌と辛口の中村さんでしたから、各々の逸話に聞き入りながら、厳しくも温かいまなざしで応援し続けてきた中村さん人柄と仕事ぶりを、あらためて知るところとなりました。
一年ほど前から、新城や豊橋での市にお惣菜を販売したり、朝市の有機農業の会や、『浜松 BIO Atsumi』でも料理教室を開催していた中村さんに、朝市へ来ている子育て世代の若い人たちも、中村さんの料理から学ぶことが多かったと話していました。

私の出会いは、2005年5月、勤務先が豊川の事務所から本社へ移動したのを機に、週2回ほど外食をと、会社の近くで見つけたのが『鰯と雑穀米のお店 さでんかん』さんでした。

2006-0604朝市を知ったのも『さでんかん』さんのおかげで、仕事で朝市へ行けない代わりに、毎週金曜日のランチは、多めに仕入れた野菜を分けていただきました。
烏骨鶏の伊藤さんともお会いして、棚田のツアーやホタルツアーに参加させてもたったり、社員さん向けに始まったアツミスーパーのセミナーも参加させてもらいましたが、今は一般への門が広がっていったのも『さでんかん』さんのおかげなんです。
(写真は、さでんかんオリジナルの、伊藤さんの烏骨鶏卵を使ったシフォンケーキで、烏骨鶏の参鶏湯も味わいました)

『さでんかん』さんの料理は、どれも美味しくて滋養食でした。
鰯料理にはキャベツやネギがたっぷり添えられてたし、雑穀たっぷりのご飯と地元の旬の野菜を使ったバランスの良い献立だったので、一日に一度ランチをいただけば健康が保てそうだし、持病の治療食として通っていた方が、少なからずいました。

定年退職後の年金暮らしになってからは、年に数回程度になりましたが、それ以前もその後も、ランチタイムを通して、いろんな方との出会いや会話が楽しみでもありました。

一品持ち寄りの「偲ぶ会」には、真鰯の煮つけを作って参加しましたが、『さでんかん』さんの料理で一番好きだったのは、「鰯のつみれ汁」です。

今日は、中村さんの四十九日。
いつか『さでんかん』さんの味に辿り付けたらいいなぁと思いつつ、2尾の真鰯を細かく切って叩いてすり合わせ、おろし生姜・青ネギと下味にお味噌少々で団子を作り、大根・間引き人参・新牛蒡の具で、つみれ汁を作りました。
中村さんを偲びながら、味わっています。

2015-1023