IWJ のメルマガより一部転載
(緑字は、岩上氏の解説)

 TPP協定交渉では、24の作業部会が設けられているが、「物品市場アクセス」(工業)「物品市場アクセス」(農業)のように、分野として一つにくくれるものも含まれており、これらを整理すると分野としては
                「1、物品作業アクセス」
                「2、原産地規制」
                「3、貿易円滑化」
                「4、SPS(衛生植物検疫)」
                「5、TBT(貿易の技術的障害)」
                「6、貿易救済(セーフガード等)」
                「7、政府調達」
                「8、知的財産」
                「9、競争政策」
                「10、越境サービス貿易」
                「11、商用関係者の移動」
                「12、金融サービス」
                「13、電気通信サービス」
                「14、電子商取引」
                「15、投資」
                「16、環境」
                「17、労働」
                「18、制度的事項」
                「19、紛争解決」
                「20、協力」
                「21、分野横断的事項」
の21分野となる。
 政府、主に外務省は「慎重に考える会」の勉強会等で、「各省庁が必死になって情報収集をしている」と説明しているが、ここに書かれた内容程度しか収集していないまま、安易に交渉に参加してよいのか、疑問が残る。これは論議の出発点になるという程度の資料であって、TPPの内容をすべて詳述できるような資料ではない。

「TPP協定交渉の分野別状況」

1、物品作業アクセス

 物品の貿易に関して、関税の撤廃や削減の方法等を定める。輸出入に係わる規制の撤廃などの追加的なルールについても定める交渉。

 現状では具体的な議論に至っていない。その国にとって重要であり、かつ輸入の増加により悪影響を受けるおそれが高い、いわゆる「センシティブ品目」については、関税の撤廃・削減の対象としない「除外」や、扱いを将来の交渉に先送りする「再協議」は原則として認めないとの考えを示す国が多いが、全体のコンセンサスには至っていない模様。
 従来日本が締結してきたEPAにおいて、常に「除外」または「再協議」としてきた農林水産品(コメ、小麦、佐藤、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等)を含む940品目について、関税撤廃が求められる可能性がある。
 米豪・米韓FTAのように医薬品分野に関する規定が置かれる可能性はある。


2、原産地規制

 関税の減免の対象となる「締約国の原産品」(締約国で生産された産品)として認められる基準や証明制度について定める交渉。

 交渉参加国が締結しているFTAごとに異なる原産地規則が存在するため、9ヵ国間で統一された原産地規則を新たに決めるべく交渉が行われているが、例えば繊維において、交渉国間の立場の隔たりにより、具体的な方向性は定まっていない模様。
 TPP協定において、農林水産品で輸入原材料を用いた場合も原産品と認めるルールとなる場合、TPP参加国以外の国からの輸入原材料を使用した産品も(ゼロ関税で)輸入される可能性がある。
 原産品の証明制度について、日本が採用していない完全自己証明制度(全ての輸出業者が原産地証明を行うことを認める制度)などが採用されると、企業を始め全ての輸出者が自主的に原産性の確認を行う体制づくりが必要になる。また、本来なら原産資格を持たない産品が、TPP協定に基づく有利な条件で輸入される恐れがある。
(※現在、P4協定、米豪・米ペルーFTAでは、完全自己証明制度が採用されており、第三者証明制度(輸出国の公的機関が原産地証明を発給する制度)は採用していない)


3、貿易円滑化

 貿易規則の透明性の向上や貿易手続きの簡素化等を定める交渉。

 日本の税関が既に導入しているシングル・ウィンドウ(関係機関の各システムを相互に接続・連携することで、複数の行政機関への申請をひとつの窓口から行うことを可能とする制度)等がTPP協定に規定されれば、税関手続きの簡素化、貿易円滑化がさらに進展する。

4、SPS(衛生植物検疫)

 食品の安全を確保したり、動物や植物が病気にかからないようにするための措置(SPS措置)の実施に関するルールについて定める交渉。

 個別品目の輸入解禁や輸入条件の変更について、従来よりTPP交渉参加国より要請されてきた案件が、交渉参加のための条件とされる可能性がある。

5、TBT(貿易の技術的障害)

 安全や環境保全などの目的から、製品の特質や生産工程について「規格」が定められているものについて、この「規格」が貿易の不必要な障害とならないように、規格を満たしているかを評価する適合性評価手続に関するルールを定める交渉。

 現時点では議論はないが、仮に個別分野別に規則が設けられる場合、例えば遺伝子組換え作物の表示などの分野で、日本にとって問題が生じる可能性がある。

6、貿易救済(セーフガード措置等)

 ある産品の輸入が急増し、国内産業に被害が生じたり、そのおそれがある場合、国内産業保護のためにその産品に対して、一時的にとることができる緊急措置(セーフガード措置)について定める交渉。

 その内容はP4協定やTPP協定交渉参加国間のFTAの規定に沿ったものになる可能性があるが、センシティブ品目の扱い(関税撤廃から「除外」するか否か)と密接に関連するため、他の分野での進展を待ってから議論することになっている模様。
 交渉によっては日本に有利な特定産品別のセーフガードを採用できる可能性があるものの、参加国の二国間FTAでは、従来の日本のEPAと比べてセーフガード措置の発動が制約される規定内容となっており、これがTPP協定にも盛り込まれると関税の引き下げによる輸入増加が国内産業に被害を及ぼすのを防ぐためのセーフガード措置を発動できる条件が厳しくなる可能性があり、その場合は、セーフガード措置も発動しにくくなる。


7、政府調達

 中央政府や地方政府等による物品・サービスの調達に関して、内国民待遇の原則や入札の手続等のルールについて定める交渉。

  →【注:『内国民待遇』とは、自国民・企業と同じ条件が、相手国の国民・企業にも保障されるように規制緩和すること。自国に参入した外国企業に対し、自国企業より不利にならないような待遇を与えなければならない。政府調達の場合であれば、地方の小規模な公共工事の入札も英文の公示・契約書を作り、TPP加盟国から応募しなければならない】

 調達基準額については、米豪・米チリFTAのように、日本の半分以下の水準のものもあるので、この水準まで引き下げを求められるおそれがある。
 ※「地方政府機関(地方自治体など)」の建設サービスの基準額については、米豪・米ペルー・米チリFTAなどは日本の三分の一の水準のものがある。
 また、特に小規模な地方公共団体においては、海外事業者との契約締結の可能性が著しく低いという現状にも関わらず、多大な事務負担(契約文書や公募サイトの英訳など)を強いることにつながるおそれがある。


8、知的財産

 知的財産の十分で効果的な保護、模倣品や海賊版に対する取締り等について定める。

 日本が主導している規定が、TPP協定に盛り込まれることになれば、ブルネイやマレーシア、ベトナムにおける模倣品・海賊版対策が強化・改善されることになり、日本企業の有する知的財産権の保護が促進される。また、事業者同士のライセンス契約に政府が介入すること(ロイヤリティ料率規制等)の禁止や技術開示に関するルールについて何らかの規定が盛り込まれることになれば、日本企業が海外において技術を守り、技術で稼ぐ環境を整える上で有益である。
 しかし、参加国間のFTAには、日本の法制度とは合わない以下のような規定が存在し、これらの規定が採用される場合には、慎重な検討が必要。
  ↓
1.特許:発明の公表から特許出願するまでに認められる猶予期間を12ヶ月にする。
2.商標:視覚によって認識できない標章(例えば音)を商標登録できるようにする。
3.著作権:日本の制度よりも長い期間、著作権を保護する。
4.刑事手続:著作権侵害につき職権で刑事手続をとることを可能にする。
5.地理的表示:商標制度を用いた出願・登録型による地理的表示を保護する。


9、競争政策

 貿易・投資の自由化で得られる利益が、カルテル等により害されるのを防ぐため、競争法・政策の強化・改善、政府(競争当局)間の協力等について定める。

 米国は、国営企業に関するテキストを提案する予定であるとのプレスリリースを発表している。
  →【注:「TPPを慎重に考える会 勉強会」で、この情報について、明らかに日本の郵政に影響を与えるものであるにも関わらず、本資料には「プレスリリースを発表」とだけ記し、その中身の説明がないことに、国会議員から厳しい指摘があった】
「公的企業及び指定独占企業に関するルール」「競争政策に関する規律を引き下げるような規定」など、日本のEPAで取り扱ったことがない規定が盛り込まれる場合には、十分ば検討が必要。


10、越境サービス貿易

 国境を越えるサービス貿易の提供に関する規制緩和の交渉。
 特に、他国の資格、免許を承認し、自国のものと同様に取り扱う「相互承認」の行方が注目を集めている。当面の優先分野として、エンジニア、建築士、地質学者、プランナー、会計士の資格に関する相互承認が交渉されている。
 ただし、外務省の説明によれば、弁護士・医師といった国家資格の相互承認に関しては現段階では議論されていないとのこと。
  →【注:しかし、この分野ではネガティブ・リスト方式(リストに掲載したものは適用対象としない方式→逆に言えばリストに掲載しないものは全て適用対象となってしまう方式)が検討されているため、「『議論の対象になる可能性がある』ときちんと記載すべきだ」と、これも「TPPを慎重に考える会 勉強会」で国会議員から指摘があった】


11、商用関係者の移動

 貿易・投資等に従事するビジネス関係者の入国や一時的滞在に関する交渉。

 交渉の対象は専門家を含むビジネスマンであり、いわゆる単純労働者は議論の対象になっていない。現状の日本のEPAでは、ビジネス関係者の入国及び一時的な滞在の許可を定めている。資料によれば、現段階ではTPP交渉において慎重な検討を要する点は特に無いとのこと。

12、金融サービス

 金融分野の国境を越えるサービスの提供について、特有の定義やルールを定める交渉。

 公的医療保険制度など国が実施する金融サービスの提供は、TPP協定交渉参加国間のFTAでも適用除外とされており、議論の対象となっていない模様。
  →【注:10の越境サービス貿易同様、この分野はネガティブ・リスト方式が採用される模様なので、「『議論の対象になる可能性がある』ときちんと記載すべきだ」と、これも「TPPを慎重に考える会 勉強会」で国会議員から指摘があった】
 TPP協定交渉国間のFTAにおいては見られないものの、日本との二国間の協議において提起されている関心事項(郵政、共済)について、TPP協定交渉でも追加的な約束を求められる可能性がある。


13、電気通信サービス

 電気通信サービスの分野について、通信インフラを有する主要なサービス提供者(テレビ局など)の業務等に関するルールを定める交渉。

 TPP交渉参加国間の既存のFTAで規定されている事項(通信インフラへの公平なアクセス、既存の電気通信設備への第三者による設備設置、相互接続、周波数割り当て、透明性、競争等)について共通のルールを設けるべく議論されている。
 参加国間のFTAで規定されているもので、日本のEPAでは規定されていない以下のものについて、盛り込まれる可能性がある。
 ↓
・情報サービスの提供者で、自ら設備を有しない者に対し、公衆一般に提供することを義務づける等の過剰な規制を課さないことを認める。
・電気通信サービスの提供に当たり、サービス提供者が柔軟に技術を選択することを認める。


14、電子商取引

電子商取引のための環境・ルールを整備する上で必要となる原則等について定める交渉。

デジタル製品(コンピュータ・プログラムや設計図)に対する関税不賦課(関税を割り当てないこと)、オンラインの消費者保護、電子署名・認証の採用、貿易文書の電子化等が議論されている模様。

15、投資

 投資に関する紛争解決手続等について定める交渉。

 交渉参加国が有する投資関連協定をもとに、保護を与える範囲や保護の内容、紛争が生じた場合の手続等について議論を行なっており、特に、「国家と投資家の間の紛争解決手続」の導入が重要な論点になっている模様。
  →【注:「国家と投資家の間の紛争解決手続」とは、投資家と投資受け入れ国との間で紛争が起こった場合に、投資家が仲裁機関に提訴する(国際仲裁の提起)手続のこと。いわゆるISD条項。「毒素条項」ともいわれる。アメリカはTPPにおいて北米自由貿易協定 (NAFTA) 同様に、米ワシントンD.C.にある「国際投資紛争解決センター (ICSID) 」を仲裁機関に指定するよう要求している】
 この「国家と投資家の間の紛争解決手続」が採用される場合、外国投資家から日本に対する国際仲裁が提起される可能性がある。


16、環境

貿易や投資の促進のために環境基準を緩和しないこと等を定める交渉。

既存のFTAの規定に加えて、海洋資源保全、漁業補助金、違法伐採及びサメの保護等に関する提案もある模様。これらの規定が盛り込まれる場合、日本の漁業補助金やサメの漁獲その他の漁業活動に関する国内政策と、相反するおそれがある。

17、労働

 貿易や投資の促進のための労働基準を緩和すべきでないこと等について定める交渉。

 貿易や投資の促進のための労働基準を緩和の禁止や、国際的に認められた労働者の権利の保護等が目的だが、米国が今後新たな条文案を提案する段階であり、現時点では合意はない模様。

18、制度的事項

 協定の運用について当事国間で協議を行う「合同委員会」の設置やその権限に関する交渉。

 資料によれば、現状の日本のEPAでは、必要に応じて合同委員会及び小委員会を設け、ビジネス環境の向上を図っている、とのこと。

19、紛争解決

 協定の解釈の不一致により締約国間の紛争を解決する際の手続きに関する交渉。

 TPP協定交渉参加国間のFTAでは、いずれの協定においても、仲裁裁判に至らない段階で解決を図るための手続きについての規定が含まれており、現状の日本のEPAも同様の規定を設けている。資料によれば、日本が確保したい主なルールの内容や慎重な検討を要する点は特にないとのこと。

20、協力

 協定の合意事項を履行する国内体制が不十分な国に対し、技術支援や人材育成を行う規定に関する交渉。現時点では実質的な議論は行われていない。

21、分野横断的事項

 複数の分野にまたがる規制や規則が、通商上の障害にならないよう、規定を設ける交渉。

 具体的な交渉内容は不明。まったく新しい交渉分野であり、既存の協定にはみられないため、今後の議論を見きわめる必要がある。

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◆TPPは事実上、日米二国間のFTAである
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「Q、GDPに占める輸出の割合は14%程度に過ぎず、残りは内需である。TPP協定によって輸出を増やしてもGDP全体への効果は小さい。内需増大を優先すべきではないか。

 A、2010年現在で14.1%であるが、今後人口が減少し内需が縮小していく見込みの中、旺盛な海外需要を取り込むことが必要不可欠である。TPPは国内の事業環境を関税面等で諸外国と対等にすることによって、輸出産業に限らず、地域の雇用を支える企業の海外移転を防ぐことにつながる」

 海外需要を取り込む、といいながら、最も成長著しい中国市場を取り込むことはできない。中国が加わらないTPPに入ることで、海外需要を取り込む上での、どんなメリットがあるのか、はなはだ疑問である。

「Q、TPP協定交渉参加国と日本のGDPを考えると日米で全体の90%を占めており、TPP協定は事実上の日米FTAではないか。

 A、10カ国のGDPについてはご指摘のような状況であることは事実。しかし、日本が新たな貿易・投資ルールについて交渉し、多国間で適用が可能となる点で、FTAにはない利点がある」

 これは外務省の配布資料であるが、その中でこのように、TPPは事実上日米二ヶ国によるFTAであることを認めている。多国間で適用されることのデメリット・危険性については触れていないが、これは重要な問題である。二国間ならば多数決では決まらないが、多国間であれば、米国側の工作次第で日本側に不利な決定が押しつけられてゆく可能性は否定できない。

「Q、TPPとASEAN+3、ASEAN+6を比較した場合、メリット、デメリット如何

 A、横浜APECでは、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)について、ASEAN+3、ASEAN+6及びTPP協定を更に発展させることで、包括的な自由貿易協定として追求されるべきことが確認された。この FTAAPに向けた道筋の中で、TPP協定は唯一すでに交渉が開始されており、アジア太平洋の貿易・投資ルールの先駆けになる可能性がある」

 FTAAPに向かう方向性では、民主党内では反対意見は少ない(それでいいかどうかはまた別の論議である)。しかし、FTAAPという山頂へ向かうルートとしてTPPを通るべきかどうかについては、議論は分かれており、コンセンサスは形成されていない。

「Q、TPP協定交渉参加への同意にあたり、米国から、日本の参加のための前提条件として、様々な二国間の懸案事項への対応が求められるのか。

 A、交渉への参加に際しては、TPP協定の目指す高い水準の自由化交渉に真剣に取り組む用意があるとの信頼を、他の参加国から得る必要がある。現在個別の二国間の懸案事項をあらかじめ解決しておくことを交渉参加の前提条件として示している国はないものの、特定国から個別の二国間から懸案事項への対応が求められる可能性は完全には否定できない」

「Q、交渉に入った後に、交渉の中で、その国にとって重要であり、かつ輸入の増加により悪影響を受けるおそれが高い、いわゆる 『センシティブ品目』は関税撤廃しないと主張し、認められる可能性はあるのか。

 A、TPP交渉では、すべての品目を関税撤廃の交渉対象としている。センシティブ品目については除外や再協議は原則認められていない」

 これは重要なポイントである。TPPは、ネガ方式(ネガティブ・リスト方式:リストに掲載しないものは全て適用対象となってしまう方式)である。例外となる項目をあらかじめ明示して認められない限り、すべては「原則自由」とされる。「センシティブ品目については除外や再協議が認められていない」とは、どういうことなのか。交渉に参加してからでは、引き返せないということではないか。TPP交渉参加前に、何を例外とすべきが、十二分に国内で論議を尽くさなくてはならない。

「TPP協定交渉の分野別状況」1、物品作業アクセス
 物品の貿易に関して、関税の撤廃や削減の方法等を定める。輸出入に係わる制度の撤廃などの追加的なルールについても定める交渉。

 現状では具体的な議論には至っていない。その国にとって重要であり、かつ輸入の増加により悪影響を受けるおそれが高い、いわゆる「センシティブ品目」については、関税の撤廃・削減の対象としない「除外」や、扱いを将来の交渉に先送りする「再協議」は原則として認めないとの考えを示す国が多いが、全体のコンセンサスには至っていない模様。

 従来日本が締結してきたEPAにおいて、常に「除外」または「再協議」としてきた農林水産品(コメ、小麦、佐藤、乳製品、牛肉、豚肉、水産品等)を含む940品目について、関税撤廃が求められる可能性がある。

 米豪・米韓FTAのように医薬品分野に関する規定が置かれる可能性はある。


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◆遺伝子組み換え食品の表示(非表示ということ)義務が押しつけられる!
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「Q、米韓FTAは米国から遺伝子組み換え食品の表示の変更を強いられた。豪州、NZも同様に要求されている。TPP協定交渉に参加したら、日本も要求を受けるのではないか。

 A、米国は、遺伝子組み換え食品等の義務的表示制度が米国産品の輸出の障壁になっているとして、日本、韓国、豪州、NZを含め、各国の義務的表示制度に懸念を表明している。TPP協定交渉では、現在この表示ルールの緩和についての議論はされていないが、今後提起される可能性は否定できない。しかし、仮に交渉に参加する場合でも、WTO協定で認められた食品安全に関する措置を妨げる提案を受け入れることはない」

 曖昧きわまりない説明である。
 米国は現に日本に対して、モンサント社などの利益を代弁する形で、遺伝子組み換え食品の表示の義務づけをやめるように求めている。表示されなくなったら、消費者はもはや、遺伝子組み換え作物を使用しているかどうか、見分けることができなくなる。そしてTPP交渉において、米国が要求する可能性も認めておきながら、WTO協定を持ち出して、心配するな、となだめすかしてみせる。WTO協定が絶対ならば、米韓FTAのような事態には陥らない。気休めにすぎない。

 安全や環境保全などの目的から、製品の特質や生産工程について「規格」が定められているものについて、この「規格」が貿易の不必要な障害とならないように、規格を満たしているかを評価する適合性評価手続に関するルールを定める交渉。

 現時点では議論はないが、仮に個別分野別に規則が設けられる場合、例えば遺伝子組換え作物の表示などの分野で、日本にとって問題が生じる可能性がある。


「Q、米国に都合がいい基準・規格を押しつけられるのではないか。

 A、個別分野別の規制について、現時点では議論はないが、仮に交渉に参加、個別の規格・基準について議論されることがあったとしても、日本としては現行の国内制度も勘案して主体的に判断していく」

 主体的に判断しようにも、TPPに仕込まれている「毒素条項」とよばれるISD条項により、米国資本によって不都合な国内制度があれば「非関税障壁」とみなされ、提訴される可能性が高い。第3者機関によって米資本に有利な裁定が下った場合、日本政府は従わざるをえない。TPPへの参加は国家の主権放棄に等しい。日本政府はその自覚に乏しい。あるいはすでに魂を抜かれてしまっているのか。

「Q、(政府調達への影響)市町村の調達の開放、開放する調達の基準額の引き下げにより、地方の公共事業が外国企業にとられるのではないか。

 A、仮に交渉に参加する場合、日本の地方自治体の調達が議論の対象になる可能性はあるが、一般市町村にまで開放が求められる場合は、外国企業の参入がほとんど見込めないにも関わらず、多大な事務負担を強いることにつながるおそれがあることから、相当な困難を伴うと考えられる。いづれにせよ、交渉に参加する場合には、地方自治体の声を聞きながら、慎重に検討して対応していきたい」

 地方自治体は、公共調達に際して、外国語での対応という過剰な負担を背負わされる。その可能性は、政府も否定はできない。この対応を怠れば、「非関税障壁」「差別的待遇」として提訴されるおそれがある。米国とカナダのFTAを見ればわかる通り、カナダの企業が訴えたケースは退けられ、米国資本の要求ばかりが通る。外務省が10月25日にPTで配布した資料を参照されたい。

 日本政府は提訴されれば敗北が決定づけられ、自動販売機のように賠償金を支払うハメとなる。その金は我々国民の税金である。


「TPP協定交渉の分野別状況」7、政府調達

 中央政府や地方政府等による物品・サービスの調達に関して、内国民待遇の原則や入札の手続等のルールについて定める交渉。

 →【注:『内国民待遇』とは、自国民・企業と同じ条件が、相手国の国民・企業にも保障されるように規制緩和すること。自国に参入した外国企業に対し、自国企業より不利にならないような待遇を与えなければならない。政府調達の場合であれば、地方の小規模な公共工事の入札も英文の公示・契約書を作り、TPP加盟国から応募しなければならない】

 調達基準額については、米豪・米チリFTAのように、日本の半分以下の水準のものもあるので、この水準まで引き下げを求められるおそれがある。

 ※「地方政府機関(地方自治体など)」の建設サービスの基準額については、米豪・米ペルー・米チリFTAなどは日本の三分の一の水準のものがある。

 また、特に小規模な地方公共団体においては、海外事業者との契約締結の可能性が著しく低いという現状にも関わらず、多大な事務負担(契約文書や公募サイトの英訳など)を強いることにつながるおそれがある。


「Q、TPP協定によって、患者の国際的移動が促進され外国人患者が多数流入、外国人患者の対応に追われ、日本人の治療が後手に回るのではないか。

 A、TPP協定交渉においては、外国人患者の受け入れやいわゆる「医療ツーリズム」は議論されていない」

 ここで「議論されていない」とは、ネガ方式のリストにアップされていないということを意味しているに過ぎない。参加交渉に入れば、「自由化」が原則なので、要求されればのまざるをえない。

「Q、TPP協定に参加すると、周波数オークション制度を導入しなくてはならなくなるのではないか。

 A、TPP協定交渉においてそのような規定が議論されているとは承知していない。仮に交渉に参加し、本件に関連した議論が行われる場合には、何が対応可能で何が困難か、是々非々で判断していく方針」

 何度も言わなくてはならないが、是々非々で判断し、要求を突きつければ通るわけではない。自由化に応じられない例外項目については、交渉に参加する前に掲げる必要がある。現にカナダは、戦略的に重要な酪農製品の例外化を主張し、TPP交渉に加われなかった(もしくは、加わらなかった)。

「TPP協定交渉の分野別状況」13、電気通信サービス

 電気通信サービスの分野について、通信インフラを有する主要なサービス提供者(テレビ局など)の業務等に関するルールを定める交渉。

 TPP交渉参加国間の既存のFTAで規定されている事項(通信インフラへの公平なアクセス、既存の電気通信設備への第三者による設備設置、相互接続、周波数割り当て、透明性、競争等)について共通のルールを設けるべく議論されている。
 参加国間のFTAで規定されているもので、日本のEPAでは規定されていない以下のものについて、盛り込まれる可能性がある。
 ↓
・情報サービスの提供者で、自ら設備を有しない者に対し、公衆一般に提供することを義務づける等の過剰な規制を課さないことを認める。
・電気通信サービスの提供に当たり、サービス提供者が柔軟に技術を選択することを認める。


「Q、一定の著作物の再販売価格維持契約は、日本の独禁法において適用除外となっているが、その適用除外制度はTPPの競争政策で影響を受けることはないのか。

 A、「既存の競争法の適用除外について見直し」を求めるとの内容が、TPP交渉で議論されているとは承知していない。また、米豪、米ペルー、米チリ、米シンガポール、米韓間の各FTAにも、競争法の適用除外を認めないとの規定はない。したがって、この適用除外制度がTPP協定によって影響されるとは考えにくい」

 再販価格維持制度とは、書籍・雑誌・新聞・音楽CDなどの「定価販売」を義務づける法律のこと。出版社側(メーカー)がそれぞれの出版物の小売価格(定価)を指定して、書店などの販売業者が指定価格通りに販売することを義務付ける制度である。この制度によってもっとも恩恵を受けている新聞・出版・音楽業界が、この問題にまったく鈍感であるのは、奇観という他はない。  日本のメディアは記者クラブ制度に代表されるように、公正な競争に乏しいカルテルに牛耳られている。そうしたカルテルが解体され、公正な競争が促されるのであれば結構なことだが、不公正なカルテルは温存されたまま、オーナーだけが外資にとってかわられ、寡占資本による独占支配が強化される可能性もありうる。

「TPP協定交渉の分野別状況」9、競争政策

 貿易・投資の自由化で得られる利益が、カルテル等により害されるのを防ぐため、競争法・政策の強化・改善、政府(競争当局)間の協力等について定める。

 米国は、国営企業に関するテキストを提案する予定であるとのプレスリリースを発表している。 →【注:この一文について「TPPを慎重に考える会 勉強会」で、「『国営企業に関するテキスト』とは、明らかに日本の郵政に影響を与えるものであるにも関わらず、本資料には「プレスリリースを発表」とだけ記し、そのプレスリリースの内容、いつ出されたのか、など詳細な説明がないのはどういうことだ」と、国会議員から厳しい指摘があった。外務省はその指摘に対し、「こちらが得ている情報はこの一文のみで、テキストの内容、詳細についてはわかりません」と無責任きわまる回答をしたにとどまった】

 「公的企業及び指定独占企業に関するルール」「競争政策に関する規律を引き下げるような規定」など、日本のEPAで取り扱ったことがない規定が盛り込まれる場合には、十分な検討が必要。


「Q、政府調達で、仮に地方の建築関連技術的サービスの基準額が引き下げられた場合、地方の業者が受ける影響はどのようなものか。

 A、日本は現在、建設サービスについて、地方自治体は約2億3000万円以上のものについて開放している。この点について、経産省が10県に関し、調達実績を調べたところ、基準額を仮に750万円程度に引き下げた場合、新たに一般競争入札の義務がかかる調達の件数(750万円以上2億3000万円未満の件数)は1937件で、全体(14770件)の13%程度」

 続いて、APEC参加国(カナダ、中国、香港、インドネシア、韓国、メキシコ、パプアニューギニア、フィリピン、ロシア、台湾、タイ)のTPP協定についての見方を記した資料の読み上げが続く。

 気がかりなポイントとしては、カナダについて「TPP協定交渉に関心を有しており、既に参加国と意見交換を行い、将来、交渉に参加する可能性はあると考えられる」と記載。中国についても、「当面は交渉の進展の状況を見つつ、交渉参加国とも緊密に意思疎通するという考えである」と記載されており、あたかもカナダ、中国が、TPPに対していかにも好意的な関心を寄せているかのような楽観的な記述に終始している。


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◆不都合な事態は想定しない外務省
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 小林興起議員からの質問───。

「TPP協定交渉の分野別状況」9、競争政策

米国の国営企業に関するテキストが提示とあるが、そのテキストの内容を資料に載せないと。国営企業と言ったって、どうせアメリカは日本の郵政に照準絞ってくるんだから。

 また、カナダは参加の可能性を探っているとしているが、以前の外務省の説明では、カナダはTPP交渉に参加させてもらえなかったのでは? その真偽と、カナダが参加させてもらえなかった理由を含めて説明すべきではないか」

 小林議員の質問に対する外務省の回答───。

「テキストを出した、という情報のみしか入手していないので、こういう書き方になってしまった。カナダの件に関しては、追加で調査して後日説明させていただく」

 すでに述べた通り、カナダは、乳製品の関税撤廃の「除外」を主張したため、参加交渉から閉め出された経緯がある。TPPは関税撤廃の例外は認めないのが大原則となっている。

 川村秀三郎議員の質問───。

「政府の説明では『(TPPは)アジアの成長戦略を取りこむメリットがある』という話だが、日米FTAではないかという批判がある。実際にはインドも中国も参加しないと、意味がないのでは?

 また国益にならなければ離脱すればよいという話があるが、途中での離脱は日米関係を大きく悪化させるのでは? いったん交渉に参加したら、どんな要求も飲まざるを得ないという状況に追い込まれるのではないか。

 最後に、アメリカは日本の参加にそこまで期待していないのではないか。最近アメリカの通商代表部のロナルド・カーク代表は、商工会で『日本のTPP参加は歓迎するが、地震や原発事故等で疲弊している状況であり、そこまで早急に参加することに我々は期待はしない』と発言している」

 川村議員の質問は重要なポイントをついていた。これに対する外務省の回答───。

「日米でGDPに占める割合が9割で、事実上日米FTAではないかという批判について。TPPはFTAとは違い、マルチな広がりを持つ。さらにその連携が広がっていく可能性がある。したがって日米のバイ(二国間)とは違った広がりを持つ。

 途中で交渉から離脱すると日米関係が悪化するのでは、という指摘について。協定が国民にとって不利益になる場合、離脱してはならないという道理はないと考えている」

 外務省の甘い認識に、議員やペン記者からも失笑が漏れた。国民に不利益になることが明白になってから離脱しようとするよりも(現実的には離脱はできないと思われるが)、利益になるか不利益になるか、十二分に検討してから、交渉参加しても遅くはないはずだ。なぜ拙速を選ぶのか、まともに考えたらまったく理解しがたい。

「このような国際約束は、国会で承認しなければ、我が国において発効されることはないので、最終的には国民の判断となる。離脱で日米関係が悪化するというのは、仮定の仮定の話なので、ここでの説明は差し控えさせていただく」

 途中離脱の際に生じるであろう日米関係悪化の可能性について、「仮定の仮定の話」として言及しないその姿勢は、「不都合な事態は想定しない」というに等しい。こうした姿勢は、危険な原発を推進しながら、巨大地震や津波を「想定外」としてきたような、これまでの官僚の無責任性そのものである。


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◆再販価格維持制度も自由化へ向かう可能性ありと公取委認める
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 続いて川内博史議員が質問───。

「著作物の再販価格維持制度について、『「既存の競争法の適用除外について見直し」を求めるとの内容が、TPP交渉で議論されているとは承知していない』と書いてあるが、以前、『TPPを慎重に考える会 勉強会』では議論されていると言っていなかったか? また、『米豪、米ペルー、米チリ、米シンガポール、米韓間の各FTAにも、競争法の適用除外を認めないとの規定はない』と書いてあるが、そもそもこれらの国には再販価格維持制度は存在しない!」

「また、「TPP協定交渉の分野別状況」9、競争政策には、交渉ではP4協定を基にすると書いてある。しかしP4協定には再販価格維持制度については記載はない。この分野はネガティブリスト方式なので、『今、他国にないものは議論されていないが、日本が参加したら議論の対象になりうる』と書くべきでは。P4協定に列挙されていないのだから現時点で議論の対象になっているはずがない。しかし参加したら、ネガティブ・リスト方式が適用されるので、日本がちゃんと(『適用除外を求める』と)言っていかないと、『適用』となってしまうのでは」

  →【注:『P4協定』とは、現在のTPP協定の基となる、チリ・シンガポール・ニュージーランド・ブルネイの4カ国の間で、2006年5月に締結された協定。160ページにも及ぶ英文の法律。物品貿易については、ほぼ全品目の関税撤廃を規定している】

 公正取引委員会の回答───。

「確かにP4協定には適用除外とは書いてありません。それはこの4カ国には再販価格維持制度はないからです。川内先生のおっしゃるとおりです。しかし現在日本の再販価格維持制度に関する議論があるとは承知しておりません」

川内博史議員の発言───。

「議論されるわけがないじゃない!まだ参加表明もしていないのだから。そういうくだらないことを言わないで下さい!ちょっと座長、ちゃんと答えさせてください。これ大事なことですよ。政府が自ら書いているんですよ、『P4協定が基になります』と」

 川内議員の正論に対し、同じ回答を繰り返す公正取引委員会。堂々巡りのそのやり取りに、他の議員から、「川内さん誤解しているんだよ」と揶揄する声が。
それに対し「誤解なんてしていませんよ!」とさらに声を荒げる川内議員。
騒然となる室内。見かねた司会がフォローに入る。


 司会の舟山康江議員───。

「たぶん、議論がかみ合っていないんじゃないかと思います。質問者(川内議員)は、『議論の対象となりうるのか』と問うている。私は『どの分野でもなりうる』という回答になると思いますが、それでよろしいでしょうか? 医薬品にしたって、医療制度にしたって、今、他国にない制度については、『今、議論されていないが、日本が入ったときには、議論の対象になりうる』ということで、政府のほう、よろしいですよね?」

 公正取引委員会が、回答を続ける───。

「議論の対象に絶対にならない、とは断言できない。今、聞いているところでは、議論になっていないので、そういう書き方になってしまった」

 川内博史議員の発言───。

「だから、新聞・雑誌・書籍・音楽CDの再販価格維持制度はどうなるの? 議論の対象になるんでしょ!? であれば『なる』と書かないとおかしいでしょ!?」

 公正取引委員会の回答───。

「交渉に入っていないことなので、確かに『今後交渉の議題に上る可能性は』と聞かれたら、ゼロではない。だから書き方を直しましょう。今聞いている所では、議論の対象になっていないが、将来どうなるかと言われたら、それは議論の対象になると。川内議員の心配もあたっていると思います」

 川内博史議員の発言───。

「だからそういうごまかした議論をするから、みんなが心配するんですよ」

 開き直った態度の公正取引委員会に対し、いい加減呆れたという様子の川内議員。司会に促され、斉藤やすのり議員の質問へ。

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◆TPPで企業の海外移転が進む!?経産省の唖然たる回答
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 斉藤やすのり議員の質問───。

「本日配布資料のひとつめ。『TPPで企業の海外流出が防げる』との記載があるが、逆に海外移転障壁の撤廃で、日本企業の海外流出が逆に促進されるのではないか。それを併記すべきでは?

 また前原誠司政調会長が、10月29日の前原グループの勉強会で『不満を持つ人にいちいち配慮したら、政策は前に進まない 』という発言をしたが、現在民主党の200名近い議員が慎重派であるという現状で、それをこのような言い方でくくってしまって良いのか」

「前原さんの発言については、党の政調会長なので、鉢呂座長の方から確かめてもらいましょう」 

 と、司会の舟山議員。その後、経産省から斎藤議員の質問への回答───。

「海外移転の質問について。すでに相当数海外に移転している。それによりアジア太平洋で生産ネットワークがある。TPPはこれをさらに活発化させ、生産活動を活発化させていくことが期待される」

 この経産省の説明には、唖然とさせられる。「工場の海外移転によって生産ネットワークが形成され、TPPはこれをさらに活発化させる」とは、つまりはTPPにより、さらなる海外移転が進む、ということではないか。

 続いて、長尾たかし議員の質問へ───。

  「去年(2010年)11月の横浜APECでオバマ大統領は、『この地域で、輸出を増やすことに、米国は大きな機会を見いだしている。今後は、どの国も、米国への輸出が繁栄への道だと、思うべきではない』と演説している。米国はこういった認識なのではないか」

 司会の舟山議員から「まとめて回答していただくので、続けて質問をお願いします」と急かされ、山岡達丸議員が質問へ。

山岡達丸議員の質問───。

「政府調達、750万円に引き下げられた場合、影響は13%とあり、公開10県のデータから試算とあるが、その10県とはどこか。750万以下の平均金額はいくらか。海外から入札可能な金額のボリュームが、どのくらい地方にあるのか?

 また民事の裁判費用、今後これを外に出してやるというのは、訴訟費用の高騰になるのでは?」

 続いて山田正彦議員の質問へ───。

「公的医療保険制度は、議論の対象にならないとしているが、10月26日の衆院厚生労働委員会で、小宮山洋子厚労大臣が『物品サービス』の分野として『議論の対象になりうる』と発言した。また、小宮山大臣は『実際に米国政府からTPP協定交渉において、「公的医療保険制度について自由化を求める文書」を外務省を通じて受け取っていた』とも言っている。

 これまで政府が配布した資料には、医薬品しか書いていないが、公的医療保険制度に関しても議論の対象になるとはっきり書くべき。我々(政府・国会議員)は、将来『想定外だった』と言えないのだから、きっちりと、何が対象になるかというのをこのPTで明らかにして欲しい」

 続いて福島のぶゆき議員の質問へ───。

「『すべて交渉の対象になる可能性がある』と書き直して下さい。特にネガティブリストについては、川内博史議員が質問した再販価格維持制度の部分、山田正彦議員が質問した医薬品の部分、文章をすべて変えて下さい。そして今回の配布資料にある文章は、撤回して下さい。

 また、APEC参加国のTPPへの見方が記された資料、これは公開情報を取りまとめたものですよね。であれば一体誰が言ったことなのか、その国の新聞社説なのか、その国の総理大臣の言葉なのか。それによって随分違うので、そのへんの部分を次回追加資料としていただければ」

 国会議員からの質問が終了───。

「大きい枠組みで話が多いようでしたので、政府側は山口つよし外務副大臣からお願い致します」と、司会の舟山議員は、山口つよし外務副大臣を指名。がまとめて回答する形に。

山口つよし外務副大臣の回答───。

  「ASEAN+3、日中韓、ASEAN+6、豪州、インド、ニュージーランド、日本にはこれらの連携を強めていく役割が、中長期的にあると考えている。日米対中国ということではなくて、日中韓、日豪とつながりを持ちながら、それらの連携を深めていく。

『アジアの成長を取り込むと言いながらインド、中国が入っていない』という指摘があったが、先日、バーンズ米国務副長官と話した時に、『将来的に中国も取り込む必要がありますよね?』と聞いたところ、『長期的には取り込む必要があると考えている』と語り、『しかし中国はまだそういう状況ではない。将来的に一緒に協力して中国を取り込んでいきましょうね』という話をした」

  →【注:有識者からは、現時点で中国がTPPに参加する可能性はほぼないとする指摘がある。中国は高関税品目が多く、国会による規制も多い。従来のFTAでも、難しい分野はほぼすべて関税撤廃の『除外』としている。TPPは全ての品目の関税撤廃を求められるので、中国がこれに参加することは現時点では考えられない】

「オバマ大統領の去年のAPECでの演説の話(長尾たかし議員の質問)、それはアメリカの願望なんじゃないかと思うんですが、あくまで中長期的な希望・願望ではないかと。

 さらに、川村議員の『米通商代表部のロナルド・カーク代表が、日本の早急なTPP参加は期待していない』と語ったという話、私はアメリカの中で二つ議論があると思う。

 日本が入ったら交渉がややこしくなるので、日本が入らなくて、出来たものに対して日本が入るか入らないかイエスかノーで突きつけるという意見。それに対して、『辛抱強く待ってあげようよ』というのが、国務省のキャンベルさんやバーンズさんらの意見。

 今のところ、日本が交渉入りするまで辛抱強く待ってあげようよという人たちの意見が優勢、ということなのではないか。

 どちちらにせよ、交渉に入ったら我々は命を張って望むので、アメリカにとってはとても手強い相手になるのではないかと思います」

 司会の舟山議員───。

「福島議員からあった、『現在交渉の対象になっていないという書き方ではなく、すべて交渉の対象になりうる、という書き方に直すべき』という意見、大串博志政務官(佐賀県2区・【HP】http://www.oogushi.com/)と相談して、資料の書き換えをお願い致します。また、外国の見方のリスト、誰が何を言っているのかという追加の資料も、お願いします」

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◆米国の首席交渉官「交渉参加後の離脱決めず」
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 10月31日に行われた第17回民主党経済連携PT。報道陣をシャットアウトした「密室」での激論を独自取材で明らかにする。

 トップバッターで発言したのは主浜(しゅはま)了議員。自らをTPPに慎重なスタンスと語り、TPPに参加すべきでない理由を5つ列挙する。


「一つ目の理由。以前米保険会社アフラックの副会長チャールズ・レイク氏は、『日本はTPP協定交渉において、センシティブ品目の除外求めるべきではない。日本は国際的な基準・規格に適合されるべきである』という報告書を出している。

二つ目の理由。環太平洋パートナーシップと言いながら、参加は9カ国しかなく、アジアは4カ国しかなく、その4カ国とFTA/EPAを結んでいる。
三つ目の理由。交渉参加にはすでに参加している国の全同意が必要であり、非常に排他的である。
四つ目の理由。米国のバーバラ・ワイゼル首席交渉官は『参加の決断は前もってなされるべきだ。真剣な意志を持たない国には来てもらいたくない 』と発言しており、交渉参加の後に離脱することを認めないという認識を示している。
五つ目の理由。TPPによって輸入超になるのではないかという懸念がある。逆効果的な、今よりもっと悪くなる協定だと言えるのではないか」

 次に、氏名不詳の議員の発言。野田首相のTPPへの意思に関する報道について批判。

「野田総理は代表質問などの場で、『慎重に議論を進めるべき』と言っているが、新聞報道等では『野田首相がTPP参加の意向』となっている。総理が代表質問の場で嘘を言うわけはないので、これが誤報であるならば大変なミスリードであり、事実関係を確認し、厳重な対応をすべき」

氏名不詳の議員の発言───。

「関係者に話を聞くと、野田総理はTPP参加に向けて突き進んでいるのではないかという感じがする。野田総理なりが、このPTの場に出てくるべきではないか」

 続いて、推進派で、氏名不詳の議員の発言───。

「貿易・雇用の拡大の可能性のカードを、わざわざ捨てなくてもよいのでは。TPP協定には国会承認という国民の声を聞く機会もある。戦う前から試合を捨てる必要はない」

 続いて、谷岡郁子(くにこ)議員の発言───。

「TPP協定には慎重な立場です。その理由は以下の3点。

 1点目、そもそも日本には、交渉能力とか交渉への気概がない。議員・国民の中にも、特に米国に対して消極的な意識が蔓延している。
 2点目、海外の収益はGDPには反映されない。GDPは減少してきたが、GNPも減少しているのか? そこをはっきりと検証すべき。
 3点目、わたしは人柄と同じように、国柄というのもあると思っている。太平洋沖地震では、ひとつのおにぎりを3つに分ける姿、節電のためにと冷房を切った老人の姿、日本はそういう国民性。この世界を驚嘆させる国民性の賜物である共済、互助関係といったものを邪魔だと言われても、納得できるわけがない」

 続いて、長尾たかし議員の発言───。

「私は親米派だが、親米ポチではない。郵政の時は、特定郵便局が悪者にされた。今回は農協関係者を悪者に仕立て上げている。また同じことの繰り返しではないか」

 間違いなく、同じ手口である。「歴史は繰り返す。一夜目は悲劇として。二度目は喜劇として」というマルクスの言葉を思い出す。

 続いて、山岡達丸議員(比例:北海道ブロック)の発言───。

「私はAPECまでの対応、その後の対応、2つに分けて論ずる。90日の協議手続きが始まる前から、非公式の場で『参加』を表明するのには反対である。
そもそも、TPP議論に振り回されすぎではないか。『何と何と何が認められない国際協定には、日本は加入しない』と明確に意思を示すべき。TPPに限らず、『混合診療はやらない』とはっきり決めておくべき」

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◆完全な自由貿易は、必ず農業を滅ぼす
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 続いて福島のぶゆき議員の発言───。

「私はTPPに慎重な立場だが、まず言っておきたいのは、特定団体、たとえば農協などの利益のために頼まれて言っているわけではない。TPPについては、具体的なデータを出さないと国民に説明できない。関税がゼロになった時、国をどう守れるのか。

 これまでの歴史を見ても、完全な自由貿易は、必ず農業を滅ぼす。農家への個別所得補償はコメだけで1兆5000億円かかる。年金で細々やっている農家よりもまず、20〜30haの中規模農家が滅びていく。関税ゼロにした時、各地域の農業がどうなるのか、きっちり想定を出すべき。その上で何か魅力的なメリットがあるならばそれを出して欲しい」

 福島議員の指摘につけ加えることがあるとすれば、関税を撤廃したことによる税収減である。財政難を訴え続け、増税にあれほど熱心な財務省がなぜ、関税という税収を失うことに、かくも鈍感なのか。理解しがたい。

 続いて、推進派で、氏名不明の議員の発言───。

「最近、日本のものづくりは衰退気味だが、それは国際的な経済連携協定ができていないからである。日本での立地が難しくなっており、日本より韓国などで生産した方が良いという状況に、大企業だけでなく中小企業も多くなっている。早急に経済連携協定の構築が必要だが、今、具体的な交渉に入っているのはTPPのみ。これが前例となって今後のルールメイキングに大いに役立つ」

 続いて推進派、菊田真紀子議員の発言───。

「豪州の関係者と話をした際に『なぜ日本は、そんなにTPP協定交渉参加を恐れるのか』と言われた。センシティブ品目など、日本だけでなく各国が様々な問題を抱えている。心配されている『特定品目についての関税撤廃の除外』については『ありえる』と考えている。ルールメイキングの交渉から参加ずべきで、交渉に参加する前から否定的な見方というのは、いささか後ろ向きではないか」

 続いて、川内博史議員の発言───。

「わたしはTPP反対派ではなく、慎重派です。TPPは5億5000万人、ASEAN+6は33億人、どちらがアジア地域を取り込めるかは明らか。
 確かに経済連携協定は検討すべきこと。しかし、TPPは関税ゼロになると聞いた。『それは大変、慎重に議論すべきだね』と言って議論を始めたら『交渉の対象にはならないと思います』と。『大丈夫、大丈夫』の大合唱。国民皆保険などは日本独自のシステム、各国が理解してくれるかどうか疑問符がつく。
 それなのに問答無用で『大丈夫』と言われたら、不安になるのは当たり前。『まず参加すべき』という声をよく聞くが、オリンピックではないのだから、『参加することに意義がある』というのは馬鹿げた話!」

 「そうだ!」という慎重派議員の賛同の声の中。トーンを上げた川内議員は、「僕はめちゃめちゃ臆病です。なぜなら国民の生活に責任があるからです」と締めくくった。

 まだまだ議論は尽くせないという雰囲気の中、司会の舟山議員がまとめに入る。次回の追加提出資料として「様々な分野・地域での関税ゼロの影響」「各国のTPPにおける懸念事項」「野田首相参加意向の報道について、鉢呂座長含めてしっかり調査すること」を求め、鉢呂座長の締めの挨拶へ。


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◆APECでのTPP交渉参加表明は、米国に最も評価されるから
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 鉢呂吉雄座長の挨拶───。

  「…推進派、反対派、それぞれの意見があろうかと思います。今後も議論を尽くし、なんとか早急に合意形成をはかりたいと思います…」

「最後になりますが…」と、鉢呂吉雄座長は、10月28日に毎日新聞が報じた「TPP参加は『米が最も評価』とする内部文書を政府が作成していた」という記事について触れた。
 【記事URL】http://mainichi.jp/select/biz/news/20111028k0000m020158000c.html

「今回の記事は、藤末健三議員が、毎日新聞の同窓の親しい記者との懇談の中で、個人の見解として話したものが、『政府の』という文言がついてしまった。毎日の記者も非常に反省しており、謝罪している。藤末議員も責任を取ってPT事務局次長を辞任する意向とのことです。
 あらためて申し上げますが、政府としてはそういうこと(当該の内部文書を作成したという事実)はありません」

 山田正彦議員が、「本当に個人的な文書なのか?」と、政府の関与を一切否定する説明に疑問を呈す。他の議員からも疑いの声があがる。「本当にそうならば、毎日新聞に訂正記事を書かせるべきだ」という発言も。「証人喚問しろ」という野次も飛び、場内ざわついたまま第17回PTは終了した。

 この場にいあわせていた人物の一人は、藤末議員辞任劇についてこう読み解いた。

「藤末さんが、文書の存在についての真偽を抱えたまま、腹を切った、ということでしょう。あの毎日の記事を読めば、文書からの引用もあるし、文書が存在しているのは事実だと誰でも思う。

 もし、文書が存在していないならば、毎日は完全な捏造記事を書いたことになる。それは考えにくい。鉢呂座長はあんなことを言ったが、毎日を本気で問いつめたりしませんよ。したら、逆にボロが出る」


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◆「なぜこの場に、前原氏、仙谷氏が出て来ないのか!?」
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 冒頭、鉢呂吉雄座長が挨拶──。
 まず、吉良州司事務局長から議事について提案が行われた。

「これまでの議員間議論では、特にテーマを絞らず、TPP交渉参加の是非について議論してきたが、今日からはテーマを三分野に絞って議論したい。
 第1になぜTPPが必要なのか。
 第2にWTOや既存経済連携、進行中、あるいは将来において構想されている経済連携(*WTO、**ASEAN+3、***ASEAN+6、****FTAAP、日中韓とTPPとの関係)とTPPとの関係について。
 第3に外交戦略、安全保障との関係について」

*WTO:World Trade Organization 世界貿易機関 自由貿易促進を主たる目的として創設された国際機関。
現在の加盟国153、加入申  請国30
**ASEAN+3:東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国で協力していく枠組。
***ASEAN+6:ASEAN+3に加えてインド、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国を加えようという構想。
****FTAAP:Free Trade Area of Asia-Pacific アジア太平洋自由貿易圏  アジア太平洋経済協力(APEC)の加盟国全域において、自由貿易を構築する構想の名称。

 ここで、吉良事務局長の説明を遮るかたちで、「TPPを慎重に考える会」代表である山田正彦前農水相から、鉢呂座長および事務局に対し異議申し立ての声が上がった。

「ここは、本来ならば大臣に来てもらい、『なぜTPPなのか』を問いただす場とすべし」

 続いて小林興起議員も、強い口調で鉢呂座長に詰め寄る。

「PTが民主党政調役員会の下部機構であるのなら、前原誠司政調会長、仙谷由人政調会長代行が出てくるべきではないか。もはや官僚相手に勉強をする時期ではない。決断すべき時期に来ている」

 鉢呂座長は、しかしこの動議を退けた。

「PTではやはり各論を議論すべき。その成果を党の政調役員会でその都度はかっていく。TPPおよびFTAAPに関して、APEC前に党として何らかの提言をまとめる。PTから政調役員会、という順序は守っていく」

 場内からは異議を唱える声が飛ぶ。

「前原政調会長、仙谷政調会長代行の方こそ、このPTを飛び越えて、外で色々ものを言っていることの方がおかしい」(場内から拍手)

 その後、計27名の議員から順々に発言が続く。TPP慎重派が約7割、推進派が約3割。以下、主だった発言を記す。

慎重派の一人、梶原康弘議員──。

「TPPには反対。民主党内では、TPPは経済ではなく、安全保障の観点からばかり議論されている。なぜここまでアメリカに譲歩しなければならないのか。アメリカは中国の核を想定している。しかし、中国が核を使った場合、アメリカが核で応戦してくれるだろうか。日本の主権がかかった問題ではないか」

 推進派から示されてきたTPP参加による経済的なメリットは、慎重派からの批判によって、すっかりメッキがはがれてしまい、最近は「中国の脅威」を理由とした安全保障上の必要性が前面に押し出されるようになってきた。そうであるならば、正面からそうしたテーマを論じなくてはならない。アメリカの核の傘は、本当に有効なのか。アメリカはいざというときに、本当に血を流して戦い、日本を守ってくれるのか。そうした確信がもてないままにアメリカにただただ追従していくことが正しいのか。

 空本誠喜議員──。

「安全保障上の問題で、今日、長島昭久先生のセミナーを聞いてきたが、TPPは環太平洋で中国の軍事的脅威を封じ込めるのが狙いというような話だった。長島昭久首相補佐官はそう明言した(場内からどよめき)。もし、そうであるならば、それを政府見解としてきちんと出してほしい」

民主党の長島昭久首相補佐官は1日、東京都内で講演し、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加の意義について、 「アジアを米国と 中国(の2国だけ)に仕切らせない。 アジア太平洋の秩序は日本と米国で作っていく積極的な視点が必要だ」と述べた。
TPPを軸とした日米の経済連携を強化することによって、台頭する中国をけん制する狙いを示唆したとみられる。
長島氏はまた、「アジア太平洋全域を私たちの庭として手に入れ、経済秩序と安全秩序を作っていく」と強調した。
野田政権の外交方針に関連し、「中国とどう向き合っていくかが最大の戦略課題だ。
中国から見て『なかなか手ごわい』と思わせる戦略的な環境を整えていく」と語った。

 民主党内は、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を目指していく方向性については、党内で異論がない、合意が得られている、という意見もあらわれた。

 慎重派の川村秀三郎議員の発言──。

「最終的にFTAAPを目指していくことに、皆さん、異論はないはず。しかしTPPは、FTAAPという山頂を目指すのに、最悪の登山ルート。本会議での田中康夫議員のTPP反対の答弁に多くの民主党員が拍手をしていた。

 TPPは拙速に結論を出すべきではなく、前原政調会長、仙谷政調会長代行を交えて議論すべき」

 続いて、慎重派とも推進派とも言いがたい議員(氏名不詳)の発言──。

「来年、中国が動き出す。総理も年末に中国を訪問する可能性がある。であるならば、日本としてはTPPを含めた環太平洋の戦略を持ちたい。EUの大使と話すとEUが非常にTPPを気にしていることが分かる。日米EUで連携して中国に対して構造協議を持ち込むという姿勢を持ってほしい。それが日本の経済にとって重要である」

 推進派で元外務官僚の緒方林太郎議員──。

「まずTPPよりWTOのドーハラウンドが優先ではないか。TPPをやるとしても、その前に日豪FTAは終えるべきだと考える。

 日米経済連携には三つの可能性がある。TPP、日米FTA、連携しない、の三つ。米韓FTAの例があるので、日米FTAは危険。となれば、TPP以外の可能性を、慎重派の方々からは出していただきたい」

 はっきりと「TPP推進すべし」と明言した東祥三議員は、前原氏らの論調と同様に「TPPは安全保障の問題である」と言いきり、「中国の脅威」を強調した。

「TPPを推進すべき。経済と安全保障を一体不可分なものと考えて議論してほしい。日本を含む極東のアジア情勢を客観的に見ていただきたい。1990年代、台湾海峡が危なくなった。台湾海峡が危なくなることは日本の国益に直結すること。その際、アメリカが台湾海峡にイージス艦を出したら、中国はなす術もなかった。

 しかしその後十数年間、中国は軍拡を徹底的に行ってきて、制空権・制海権を凌駕するような勢いになっている。ヨーロッパには地域防衛機関というものがあり、アメリカもそこにかんでいる。しかし日本にはそのようなものは存在しない。

 そこで、日米、米豪、米韓、これが同盟関係を結び、安全保障体制をどうするか、議論する状況にきているのではないか。シンガポールやブルネイ、インドネシア、フィリピンといったアジアの中小新興国は、日米関係がしっかりしているがゆえに、中国の経済的圧力に屈することなく頑張れるのではないか。TPPに日本が参加しなければ、アメリカ主導のスキームが作られていってしまう」

急いで交渉に参加しないと、他国に枠組みを作られてしまう。早く交渉参加して、日本に有利な枠組みをつくるべきだ、という主張は、推進派の中では根強い。しかし、この第18回PTが行われた翌日の11月2日付東京新聞で、交渉に参加表明しても、米国議会の承認を得られないとルールメイキングに参加できないことが明らかにされた。 その間は、参加表明してから、実際の交渉に参加するためには、90日間プラスアルファかかり、すでに枠組みはでき上がっている可能性が高い。そうであれば急ぐ必要性はなくなり、枠組みができあがるのをみて、TPPに加わることが日本にとって有利か不利か、落ち着いて判断すればいいことになる。

 ここで、TPP慎重派の小林興起議員から反論が──。

「日本はAPECにきちんと参加すれば、世界の中でおかしいと非難されることはまずない。震災対策がなされてからTPPは議論すべきだ。急ぐ理由はない。TPPはアメリカのための交渉でしかない。日本側はTPPを不愉快だと思うくらいの感覚を持つべき」

 さらに慎重派の大泉博子議員から、米国に押され続けてきた日米交渉の現実について、現実的な懸念の声が上がった。

「TPPには反対。1985年のプラザ合意以降、日米交渉で日本は負け続けてきた。その結果、社会保障の分野はボロボロにされてしまった。それを回復するためにこそ我々は政権交代をしたはず。なぜアメリカのほうばかり向くのか。もっとアジアを取り込むべきではないか。APECまでに結論を出すというのはあまりに拙速です」

 さらにTPP反対の声が続く。平智之議員の発言には、拍手がわいた。

「民間企業の感覚からいってもTPPはマズい。投資ではなく投機であり、非常に危ない。TPPは自由貿易体制ではない。あたかもUSTR(Office of the United States Trade Representative:アメリカ合衆国通商代表部 アメリカ大統領府内に設けられた通商交渉のための機関)がカウンターパートであるかのように議論されているが、アメリカ議会はまだUSTRに交渉権を与えていない。したがって、『TPPお化け』があるとしたら、USTRこそが『お化け』である。

 FTAAPが最終目標であるならば、9カ国による第2ラウンドが必ずあるはず。第2ラウンドまで様子を見ながらチューニングをしつつ、そこから入るべきではないか(拍手)」

 高橋英行議員──。

「農林水産業の観点からTPP反対。やはり地方のJAは重要。JAが地方の経済を守っている。地方の中小企業はその土地の雇用を守るためにあえて海外進出しない。TPPによるデフレ化により、牛丼は150円になるという試算があるが。デフレにより地方は潰れる」

 氏名不詳の議員から「TPP賛成」の声──。

「TPP賛成。TPPは水平分業を加速するためにも必要。TPPこそがFTAAPという最終目標への近道。FTAAPはAPECで目標として決めている。もともとAPECの言い出しっぺは日豪。その意味でもAPECでのFTAAPは大事にしていくべき。

 将来的には、インドのFTAAPへの参加を促していくべきである。中国のプレゼンスがAPECでも強まっている。APECでのTPP参加表明が、中国を牽制する意味で良いタイミングではないか」

 ここで、新党大地の浅野貴博議員から、民主党自体へ釘を刺す発言が──。

「選挙時、民主党はTPPなど一言も言っていなかったではないか。安全保障の観点からのTPP参加なら、同時に9条改正、集団的自衛権の話もすべきではないか」

 推進派で、鳩山内閣時代の経済産業大臣であり、現在は民主党副代表で、両院議院総会会長の直嶋正行議員から──。

「TPP推進すべき。自由貿易の側面で日本は遅れている。二国間であろうが、多国間であろうが、自由貿易体制を作っていくべき。大企業だけでなく、中小企業も海外に進出したがっている。農業もしっかりやっていかなければならないが、同時に経済連携も進めていかなければならない。

 日豪FTA中止には賛成。最終目標はもちろんFTAAPだが、APECでは貿易"交渉"などやらない。APEC前に交渉を進めておかなければならない。なぜベトナムやマレーシアがTPPに参加するのか。中国が脅威なので、アメリカと日本に介入してほしがっているからなのである」

慎重派の川内博史議員から──。

「TPPは、EPAやFTAとは違い、内実がよく分からないもの。よく分からない交渉に飛び込んではいけない。『何故TPPか』と問うのではなく、『何故TPPに慎重であるべきか』と問うべき。政府はAPECではなく日米首脳会談のほうを向いている。ASEANプラス、日中韓、TPP、これらを同時並行的に進めていくのが日本としての立場。現段階では、TPP交渉参加は時期尚早。より研究が必要」

 そして締めくくりに、岡田克也前幹事長から発言が──。

「韓国やEUに対して交渉のテーブルに乗ってもらうよう努力してきた。その成果がようやく実りつつある。ASEANの最大の貿易相手国は中国であって、日本の影は薄くなっている。そうした状況のなかで、ここはやはりもう一度思い切って国を開いていかなければならない。そこから議論をスタートすべきだと思う。韓国に日本の企業がかなり進出をし始めている。

 韓国に工場を作ると、そこからEUにもアメリカにも開かれていく。人件費の問題ではない。ASEANや中国ではなく、人件費の高い韓国にあえて工場を作れるということが、窓が開かれているということのひとつの証左である。マニフェストでも掲げたように、国を開く自由貿易を進めていくという観点に立つべき。

 TPPかASEAN+かは、二者択一ではない。TPPもやりながら、日中韓+6も、日中韓もやっていく。やれることはなんでもやる。そして最後は日本が中心になって両方を一つにする。それこそがFTAAPである」

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◆アメリカの目標──医薬品に対する関税の撤廃
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 この日、政府は詳しい説明は避けたが、今回配られた資料のうち、きわめて重要なのは「TPP協定において慎重な検討を要する可能性がある主な点」である。政府は、TPPの想定されるデメリットの部分にはほとんど触れてこなかったが、国会議員からの採算の要求により、作成された。内容としては、今まで配られた資料から抜粋し、集約したものだが、ひとつの資料にまとまっているという点で、その意味は非常に大きい。

PTの議事進行は、まず外務省による配布資料の説明から。前々回配布された「APEC参加国のTPPに対する見方」のさらに詳細な追加資料を配布し、その国の「『誰』のTPPに対する見方」なのかが示された。


「中国について、最初の黒マルのその点でございますが、今年10月の外交部の記者会見におきます姜瑜(きょうゆ)報道官の発言ということでございます。二つ目の黒マルは、失礼、ポツは政府関係者の説明、2つ目の黒マルの予定通りでございます。

 香港については、基本的には政府関係者の説明を取りまとめたものということでございます。それから一点、香港のところで最初の黒マルの、ポツの1行目、ニュージーランド及びエフタというふうに書いてございますが、前回の資料でEUと書きました。これはエフタの間違いでございます。訂正させていただきます。申し訳ございません。

 次のページ、インドネシアの見方。これは今年の2月にインドネシアのマルティ外務大臣が、日本記者クラブで行った記者会見の発言を元にしたものです。

 それから韓国、最初の黒丸はシンクタンク社の説明。2つ目の黒丸は、2010年の11月に出された、政府系のシンクタンクの報告書の記述を使ったものです。

 メキシコの見方は、メキシコ政府関係者の説明と、それから今年6月のメキシコでのフォーラムでの元経産省次官の発言等を元にしています。

 パプアニューギニアの見方は、同国政府関係者の説明。フィリピンも一部政府関係者の説明、一部、同国貿易産業大臣の報道された発言です。

 ロシアは政府関係者の説明を元にしています。

 最後に、台湾の見方。最初の黒丸は経済部のHPから抜粋したもの。それから2つ目の黒丸ですが、これは2011年10月10日に、中華民国100年の国慶祝賀大会における、総統の演説の中から抜粋したものです。

 タイは政府関係者の説明と、報道されている商務庁の局長の発言です」

「次の資料は、USTRが発表した「医薬品へのアクセスの拡大のためのTPP貿易目標」というものについて簡単にまとめたものです。

 これは9項目。そこが言わば中心部分ですので、その仮訳を付けさせていただきました。TEAM(ティーム)という名前を付けています。『トレードインアーシングアクセストゥメディスン』という名前で、『アメリカは、TPPパートナー諸国と以下の諸目標を達成するために協力する』ということで、言わばアメリカの目標を掲げたものです。

 最初の点は革新的医薬品、ジェネリック医薬品へのアクセスの、TPPアクセスウィンドウを通じた迅速化ということです。説明の中では、『その合理される期間内に、発明者がTPP域内市場に医薬品を供給する』という条件をつけたもので、これを『アクセスウィンドウ』という言い方にしていると承知しています。

 それから2番目は、『ジェネリック医薬品の製造業者にとっての法的予見性の強化』。3番目が『医薬品に対する関税の撤廃』。4番目が『税関における障壁の低減』。5番目が『模倣医薬品の貿易の阻止』。次のページに参りまして、6番目が『各国内における医薬品の流通障壁の低減』。それから7番目ですが、『透明性と手続きの公平性の強化』。8番目、『不要な規制商品の最小化』。それから9番目が、『TRIPS及び公衆衛生に関するドーハ宣言の再確認』ということでございます」

 それから次の資料『国会承認条約の締結手続き』ということで、全体の流れをチャートにしたものです。

 左側が2国間条約、右側が数国間条約でございます。条約交渉を行い、条約文が確定したところで、2国間の場合は署名、多国間の場合は採択、その後署名というふうになるものもあります。その後、日本におきましては国会に提出し、締結について国会の承認を求めるという、そういうステップになっております。ご承認いただければ締結という行為に移るわけです。

その締結の方法は基準、受諾承認、それからマルチの条約について加入、あるいは2国間条約について公文の交換といった、そういう方法がございます。その後、公約発生に至るという流れになっております。外務省の説明は以上でございます」

 続いて農林水産省が作成した、「国境措置撤廃による農林水産物生産等への影響試算」配布資料の説明───。

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◆関税率ゼロ、米の内外価格差を埋めるのはかなりの財政負担に
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「どのくらいの影響が出るかということでございますが、1ページの2つ目のマルでございます。農林水産物全体では4兆5千億円程度の影響が、関税率がゼロということになりますと、そうした減少が出てくるだろうというふうに試算しています。この内訳は右側にございますように、米が約2兆円。豚肉が4千6百億円ということで、以下、ここに書いてあるとおりでございます。

農産物について言いますと、水産物等除きまして、だいたい4兆1千億円程度の影響が出てくるだろうというふうに考えております。しからば、この出し方はどうしたかということでございますが、2ページをお開けいただきたいと思います。代表的な米で試算した時の考え方を申し上げたいと思います。

右側の方にイメージ図というのがございます。ちょっとわかりづらいですが、このイメージ図の真ん中と言いますか、これはどういうものかと申しますと、一番右側が米国産で、シュリンプでございまして、これがだいたい1kgあたり57円か何かで、取引されたと。そうした中で我が国のお米につきましては、一番左側の真ん中の欄にございますが、右側がコシヒカリと言ったような、いわゆるブランド米でございます。
これがだいたい288円で取り引きされておりますが、それ以外のもの、いわゆる真ん中にございます、先買いという点線ラインがありますが、これが247円で取り引きされております。

従いまして関税が撤廃されますと、米国産の57円に席捲されまして、この247円で取り引きされているお米は、これは全てこの57円に置き換わりますものですから、その損失額が1兆8千8百億円位だろうというふうに試算したところでございます。

またブランド米ということで、高額な取り引きもされているわけでございますが、おそらくこれもデフレ傾向でございますものですから、この57円に引っ張られまして、288円が恐らく177円位になるだろうということで、その損失額が約1千億ということで、合わせまして約2兆円位になるだろうというような試算をしたところでございます。で、こうしたことが他の物品でも同様でございます。

しからば、こういうような状態になって関税率がゼロになった時に、どうしたらいいかというような方策についてのお問い合わせもあったわけでございますが、その場合には、例えば米で言いますと、247円と57円の間の190円、こうしたものを政府が内外格差を埋めるといったような方策が一つ考えられるかと思いますが、かなりの財政負担になるんではないか、というふうに考えているところでございます。簡単ではございますが、説明は以上でございます」


 続いて経済産業省の説明へ───。

「経済産業省でございます。昨日、一昨日の中村先生、近藤先生、谷岡先生のご指摘となりまして、資料用意して参りました。
 まず、TPP関連データ集という横長の冊子がございます。これで中村先生からデータを添えるべきだということで用意して参ったものでございます。ざっと短時間ご説明申し上げたいと思います。
2ページ目に9カ国と日本のGDPの額を比較してございます。
次のページは、9カ国と日本の人口の比較でございます。
4ページ目、一人あたりのGDPの比較でございます。
5ページ目、9カ国と日本の第一次、第二次、第三次産業の構成比の比較でございます。続きまして貿易依存度の比較でございます。
7ページは9カ国と日本の貿易収支でございます。アメリカが大変多くの貿易赤字を記録して、というのがここから見て取れると思います。
8ページ目はアジア太平洋と日本の貿易投資関係ということで、一番左のグラフをご覧いただきますと、だいたい日本の世界への輸出のうちの4分の1が、このTPP参加国に向けてのものでございます。さらにAPEC地域全体ということになりますと76.3%いうことになります。

投資を見ますと、真ん中の絵にございますけれども、TPP交渉参加国に対する直接投資残高は、おおむね4割でございます。これをAPECまで広げますと、右の図になりますが、61%まで拡大されると、こういう状況でございます。
 9ページ目は、9カ国と日本との貿易関係でございます。日本から9カ国に対しては、自動車、一般機械、電気機械などが輸出されておりますが、左の方に参りまして、輸入は石油燃料、農林水産、銀行、……工業製品、電気機械、こういったものを輸入しているというところでございます。
 10ページ目以降は、各国との日本の貿易関係を題にして、アメリカとの輸出輸入、それから11ページ目に日本から輸出している重税品目の主な上位20品目と。
 次のページは輸入している20品目と。13ページ目は各国、9カ国全てをここに書いてございます。
 それから一番最後のページまで飛ばさせていただきますけど、37ページ、TPP域内国間の貿易関係ということで、域内の貿易を100とした時の各国の貿易のシェアということでございます。例えばシンガポールからアメリカのところに5.2というのがございますけれども、この9カ国間の取り引きを100とした場合にシンガポールからアメリカへの輸出が5.2を占めると。

逆にアメリカからシンガポールというところに10.4というのがありますけれども、アメリカからシンガポールへの輸出が10.4%を占めると、こういった取り引きがなされているというところでございます。

 それから、その次の資料に参りますが、貿易収支、所得収支、こういったものが今後どうなっていくのかシュミレーションを示すべきであると中村哲治先生からございましたけれども、このご覧いただきたい資料は、この輸出と投資収益と両輪で稼ぐという、この横長の資料でございます。

貿易収支、所得収支、それから計上収支、あるいは為替の見通しというのは、いろんな要素で、いろんな要因で左右されるものでございます。海外経済の動向、エネルギー受給の見通し、産業空洞化と、こういった要因があって一概に示すことは難しいというものでございます。

ただし、最近の空洞化の進展、それから燃料輸入の増加で貿易収支は悪化しております。このグラフをご覧いただきますと、青のグラフが貿易収支でございます。黒字幅が徐々に下の方に減ってきているというのが見て取れると思います。
逆にオレンジのラインが上の方に上がってっていますけれども、これは日本の所得収支でございまして、海外の日本の子会社が稼いだお金を日本に還元してくる、これによって得られたものが所得収支でございます。

 いずれも、この日本にとっては、輸出拡大ですとか、あるいは海外投資の円滑化、収益の還流といったものを通じて、この所得収支、貿易収支のいずれもプラスの方向に持っていくことが不可欠であるというふうに考えております。

で、TPPによりまして、このアジア太平洋地域において、海外に投資する企業、国内で活躍する企業とこの両方を支援していくことによって、この所得収支、貿易収支、双方をプラスの方向に持っていくということが重要ではないかというふうに考えているところでございます。

所得収支を増やすためには、この右側にありますように、海外へ投資する企業に対する応援ということで、送金の需要の確保でありますとか、ここに書いてあるようなことで、支援していくことが出来るのではないかと。貿易収支を増やす方法の活動としては、右側にあります関税削減でありますとか、途上国の環境保全、労働保全の徹底と、こういったことで応援出来るのではないかというふうに考えております。

 何年後に所得収支、貿易収支がこうなるという数字は、お示し出来ないものですから、こういった形で過去のトレンドをご覧いただいて、これを両方とも増やしていく方向で、活動していかなければいけないということではないかと思っております。谷岡先生からご指摘がありました還流はどうなっているのかというのがその次のページ、とさらにその次のページでございます。

この2009年度から外国子会社の配当の益金不算入制度というのが導入されまして、これによって、あのグラフをご覧いただきますと、全体の対外直接投資収益は2008年から2009年で減っているにも関わらず、国内に還流された配当金は2008年の2.4兆円から2009年の3.03兆円へと増加しております。これは2010年、2011年ともこの傾向は変わっておりませんで、国内還流が比較的安定的に推移しているというふうに考えられます。

その次のページに、還流されたお金がどういうふうに使われているのかと、もうアンケート調査ですけれども、次のページの右側のグラフをご覧いただきますと、現地法人から還流させた配当金をどこに使いますかという問いに対して、一番左のここでいう44%の企業が研究開発、設備投資に使う。さらに16%の企業が雇用関係の支出に充てると、こういったことがアンケートの結果出てるということでございます。

最後のページは、中小企業の存続をかけた海外進出が進むということで、一枚用意をさせていただきましたけれども、右下にございますが、最近国内の拠点の存続を条件に、海外に進出することを後押しする自治体が増えております。東京都の大田区まで、それから静岡県浜松市まで、といったことがございます。
これは元気なうちに、海外の成長機会をモノにするということで、海外に行って、で、またそれに対する国内からの輸出であったり、素材であったり、部品であったりの輸出をしてもらうということで、こういう動きがございます。で、今、すでに相当企業が海外で生産をしていると、その生産をしている拠点での活動をさらにいい環境にしていくということも、これまたTPPでルールメイキングの部分で求められるものではないかと考えているところでございます。
以上、私が口頭で説明したことは、縦長の文字で書いた2枚紙の中でまとめて書いてあるところでございます。

 それから最後に、これは口頭でご報告を。中村先生のご質問に対する、地方の建築関連サービスに関するお答えでございますけれども、全体のサービスの部分が、技術サービスの部分が、2億3千万円から750万円に引き下げられた場合、その件数は13%であるというふうに申し上げましたけれども、金額は幾らかという質問がございました。

これは金額について、10件のものを拾い上げたところ、全体の4割程度がここにあたるということで調べがつきましたので、ご報告させていただきます。以上でございます」

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◆隠された!?政府内部文書
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 配布資料に関する政府側の説明が終了。続いて、事務局司会の舟山康江議員の進行のもと、国会議員による質疑へ───。

 最初の質問者は中村哲治議員───。

「今、説明をいただいたことじゃないのですが、非常に大切なことだと思いますので、あえて質問します。今日(11月2日)、東京新聞に『TPP主張困難』というような大きな見出しで載っております。

政府側は、今回のTPPの参加というのはいち早く参加をして、ルール作りに参加するんだということを主張されておるわけですが、この記事によると、実際に参加するまでに、非常に時間がかかると書いてある。APECで参加表明をしても、交渉参加できるのは早くて来年の夏、9カ国は来夏までの合意を目指しているという、そういった中で、米通商代表部からの高官の話でありますが、日本政府の内部文書でわかったという記事です。これは非常に大切なことだと思いますので、ぜひその内部資料の提出をお願いしたいと思います」

 司会の舟山議員、「ええと、ちょっと待ってくださいね。ちょっと少し中身の話と違う部分ですので、大串政務官からお答えいただきたいと思います」と、少し戸惑った様子で、事務局の大串博志政務官(に回答を促す。

 大串博志政務官の回答───。

「あの東京新聞の一面の記事、私も見ました。内部文書というものについては、正直言ってまだよくわかりません。調べてはみますが、どの文書のことを言っているのか、今のところよくわかっていないというのが現状であります。報道されている事実だけからどの文書なのかっていうのを特定するのは非常に難しいっていうことです」

 最初に、首藤信彦議員の発言。これから先、動画も参照されたい。
       【動画URL】http://youtu.be/tNqNwCLpRaQ

「全体論議を邪魔してはいけないので、手短に質問させていただきたいと思いますけれども、質問というか、それはもう驚天動地の世界で、今まで外務省はこれを(TPP交渉相手国から)何も教わっていないと、教えられていないと、ずっと言い続けてきたじゃないですか。

だからどうなってんですかって、どういうふうなプロセスなんですか、どういうような進捗状態なんですか、いつぐらいのタイミングなんですかって言っても、何十篇聞いても、「我々はメンバーじゃないから何も教えられてない」と、ずっと言い続けてきたんじゃないですか。

ですから、もう全部内部文書出して下さいよ。交渉してですね、どこまでわかっているのか。どこまで教えられているのか。それを言っていただかないと、こんな情報がですね、ポロリポロリと新聞で出てたら、そんなことをいちいち皆にですね『いやこれは内部文書でございまして、これは公式に議論することは出来ません』というのは、ここではまだ通用しても、一般の社会では通用しっこないんですよ。

そりゃ東京新聞というのはどっちかと言うと、そう大きな新聞ではありませんけど(会場、笑い)、こういうのが次々と出たら、本当にこれはもう政治そのものが、国民の不信を生み出してるわけですよ。

ですから、これは一体どこまで本当に、どういう議論が行われているのか、どこまで教わっているのかを、それを早くですね、ともかく現時点でわかっている資料はですね、全部出していただきたいと、そういうふうに思います」

 続いて 斉藤やすのり議員の発言───。

「仮にこの記事が真実であるならば、『ルールメイキングにコミットしなければいけないから、早く話し合いに参加しなければいけない』ということが根底から崩れちゃうんじゃないんですか? これが事実であれば、もうそんな意味がなくなっちゃうじゃないですか。無条件降伏ですよ、これ。是非この記事の真実、これ非常に重要ですから、調査して下さい。よろしくお願いします」

 ここで、大串博志政務官が、「そもそもこの記事の内容が事実なのか」を含めて事実関係を説明するよう、外務省に説明を促した。

 外務省の説明───。

「この東京新聞の記事について、まずアメリカが受け入れ困難と言っているのかという点。アメリカは、従来から私共が申し上げてきている通り、『交渉参加については、これは日本側が決めることである』と言っている。『日本が国内的な決断を下すことにあたって協力します』と、これがアメリカの公式な立場です。

 それから受け入れ困難云々の話はですね、これは交渉がどんどん進んでしまえば、別にTPPに限らず、マルチの交渉が進んでしまえば、一般論としては後から来る国は入りにくくなります。これは別にアメリカのみならず、他の国からも一般的な形では言われています。

 それから、アメリカとの協議、『90日間に加えて、さらに事前協議が必要になるということですが、これは確かにこの前、資料で配布した通り、行政府は議会に90日前に通知するということになっているわけですが、これは日本が手を挙げた途端に、自動的にアメリカの行政府が通知するというものではありません。 これはアメリカのみならず、『日本政府がどういう決定をしたか』ということを説明し、それぞれの国がそれを検討する。その上で、アメリカのように特別な手続きが必要な国は、その手続きに入るということです。別にアメリカに限らず、各国政府との協議なり、説明のプロセスというのは必要になるということです」

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◆本当に日本の自由意志なら、TPPに入らなくていいはず、という「正論」
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 山田正彦議員の発言───。

「大串政務官は、文書はあると、しかしどの文書かわからないということですから、その政府の内容文書、これは大変大事なので、必ずこのPTで示して欲しい。

私がいろいろ聞き及んでいる情報では、事前にアメリカからこういうことが求められている、牛肉の問題や、自動車の非関税障壁、そういったことが求められていると聞いている。必ずその文書があるはずなので、これを本当に国民の前に明らかにして欲しい。そして、一体どういうことになっていくのか、いま皆さん本当に関心持っていらっしゃいますから、それをぜひお願いしたい」

 山田議員の正論に、会場内から、拍手があがる。

 すると、小林興起議員が立ち上がり、「本当はアメリカがTPPに入れと言ったのだろう」と、強い口調で外務省を難じ始めた───。

「外務省が言った、『日本は自由に入りたかったらどうぞ』と、だったら入ることなんかないじゃないですか。(本当は)違うんでしょ? アメリカから入れって要求されているから、入るってことを言っているわけじゃないですか。どうして外務省は嘘を言うの? 日本は自分で入りましょうなんていう、そんな自主性のある国じゃないでしょう? アメリカから入れって言われているから、仕方なく入ろうと思っているだけじゃないですか」

 小林議員の言葉は「王様の耳はロバの耳」と叫んでいるに等しい。日本政府は国民に対して、独立国の政府であるかのように偽装しているが、その真の姿は、米国の属国の政府なのである、と───。

「それでどうしようかってことを言わなきゃいけないんであって、そんな公式文書では、日本が自分の意思で入れ、そんなだったら別に議論することなく、入んなきゃいいにきまってるじゃない。アメリカから入れって言われているから、さあどうしましょうかってことがスタートなんでしょ? そのスタートについて、なんでその外務省は嘘言うんですか」

 ここで岡田克也前幹事長が、東京新聞の記事自体の信憑性に疑問を唱える形で、外務省に対して助け舟を出す───。

「あの、これは中日新聞が書いたもので、メディアが報じたものを全部それがどのくらい根拠があるかということは、皆さんも日々いろんなことで苦労していますよね。1面トップというのは、だいたいいい加減なことが多いっていうことも、経験的にはよく承知しておられると思うんですよね。

これは、いろんな情報ありますよ、アメリカのいろんな人と情報取ってれば。しかし、具体的にその記事の根拠になるものがあるということではありません。ですから、その上で...」

 会場内から、猛然と野次が飛ぶ。岡田前幹事長、一瞬立ち往生───。

「(野次を制するように)ちょっと待ってください、ちょっと待ってください。ですから、ひとつの新聞記事をもとにして、メディアがこれだけいるところで、こんな議論をすることは理解しがたいことなんですね。

それから、記事には『この来年の夏にまとまるテーマ』と書いてありますよね、『来夏にもまとまる予定のルール策定作業に』と。これだってはっきり決まっているわけじゃないわけで、遅れる可能性だってあるわけでしょ。

だから、これ、いろんな仮定を勝手においた記事ですから、こういうことを私は、いちいちまともに取り上げて議論する必要は全くないと、そういうふうに思います」

 大串博志政務官が、議論の論点をまとめようとする───。

「文書自体に関しての議論というよりも、おそらくこの記事の中で論点となっているのは、『米国が受け入れ困難と言っているのか』という事実関係、あるいは『所定の90日間に加え、事前の協議が必要となるのか』という事実関係、これが議論の本質として大事なんだというふうに思います。それに関しては、いま外務省が回答したところです。

一方、山田先生から、『さらに文章を』というふうに言われましたが、そこには新しい論点を指摘されていまして、つまり『90日間の(米国)議会とのプロセスに入る前に、これ、これ、これ、と論点として求められるという情報があるのではないのか、その文章を示せ』という、新たな文章に対する要望というふうに受け取りました。

ですので、いまおっしゃっている中においても、文章がいくつか、文章といいますか、文書があるかわかりませんが、いくつかの論点を新たにおっしゃったと。ですから、そういった点の質問も含めて、この場で議論を事実関係の確認としてやっていただくのが、私は生産的だろうというふうに思います」

 再び、外務省の説明───。

「これは、交渉全体の概況の資料の中でですね、お示ししたと思いますが、来年も最低五回程度の会合が必要だということでして、『そのあとどうなるか』ということについては、確たる情報はございません」

 司会の舟山議員の発言───。

「この記事に関しては、再度確認するところは確認していただいて、中身については、それこそ議会の90日の前の日数が決まっているのかどうか。事前に非公式の協議があるというのは、先ほど外務省からお話がありましたけれども、例えば記事にあるように『3ヶ月』となっているのか、そのへんの事実関係については、またきちんとご回答いただくということでよろしいですかね」

 氏名不詳の議員が発言───。

「マレーシアの場合、加盟までに一年くらいかかったっていう話を聞いているんですけど、これまで参加までにどれくらいの日数がかかっているのか、他の国はどうなのか」

 司会の舟山議員が引き取って答える───。

「じゃあ、この新聞の事実関係とは違いますけども、今の意見も含めて、おそらく、他国の事例が、今後の日本の交渉参加に当たって、ひとつの目安というか参考になると思いますので、そこも合わせて、またご提示いただければと思いますので、本題に移らせていただいてよろしいでしょうか。

中身の議論として、先ほどの政府の説明に対する質問を、まずさせていただきたいと思います」

 中村議員の発言から始まった「紛糾」はここで一時収束し、質疑のテーマは、先ほどの政府の追加資料説明へと戻った。【動画URL】http://youtu.be/85iM32tOMdQ

 中村哲治議員が、続いて質問する───。

「経済産業省に、私の質問、ないし指摘の意図が正確に伝わっていないようですので、改めてお話させていただきたいと思います。

 そもそも、経常収支というのは、今日の資料にもあるようにほとんどは所得収支と貿易収支の合計なわけだが、この経常収支の黒字というのは、資本収支の赤字と、そして外貨準備の増減でファイナンスされます。つまり、黒字の分、経常収支の黒字の分というのは資本流出でファイナンスされるということなんです。

経常収支が黒字である国っていうのは、どんどん資本が流出する、つまり中小企業も含めて直接投資も海外に逃げていくと、というところが経常収支の黒字というものの意味です。昨年、これは国立国会図書館が20年間の資料として、国際収支等の関係でですね、まとめている資料ですけれども、そこで例えばどうなっているか。

去年の経常収支は16兆円の黒字です。貿易収支は5兆円の黒字。そして所得収支は12兆円の黒字。それがまあフローのほうですね。そしてそのファイナンスにどれだけ動いているかと。資本収支は、9.7兆円の資本流出なわけですよ。そのうちの5兆2000億が直接投資で資本が流出している。プラス、外貨準備が5兆円増えていると。そういう形でファイナンスされているわけです。経常収支の黒字を維持していくというのは、どんどん産業構造が空洞化していくということとイコールなんです」

 「それは全然違うよ」と首藤議員が声を上げたが、中村哲治議員、首藤議員に反論する形で、さらに発言を続ける───。

「いやそれは、直接投資はそうですし、違うってことで首藤さん、数字を出して説明してください。証券投資は7兆1000億、それも投資されています。この形で、経済学の貿易投資・貿易投機の定義の話ですから、経常収支の黒字というのは資本収支の赤字でファイナンスされる、それは定義の話ですから。

そういうことで、直接投資をどんどん増やしていくということは、その分、海外に工場を移転しということも含めての直接投資は増えていくということですから、そこの戦略的な、国家戦略として、どのように定義しているのかということはよく考えていかなくてはなりません。

貿易収支の、これは黒字のところだけプラスマイナスだけ示しているんですけれども、20年間の貿易の環境を考えるのであれば、輸出額と輸入額の絶対額をグラフにしなければ、どのような形で経済連携が世界的に進んでいるのかということは見ることができません。
この、青のグラフの貿易収支というのは、その輸出額輸入額の差額をとったグラフですので、これは、これだけ見てると日本がどれだけ海外との関係を深めていってるのかということを見ることができないんです。90年代とか2000年代に比べて何が変わったかというと、輸出額が大きく増えてます。そういったことも、これでは見ることができません。輸出額が増えるに従って輸入額が増えている。そういうふうな関係も、このグラフだけでは見ることができません。

それから所得収支なんですけども、所得収支については、この経常収支の黒字額が前年と、この対外純資産の額の増大に寄与してくるわけですから、貸付の額が、投資の額が大きくなっていくということです。今年の投資額が、ネットの投資額がいくらになっているのか。対外資産がいくらで、海外負債がいくらで、対外純資産がいくらなのか。そして、去年から今年にかけてはどれだけ対外資産の目減りがあったのか。そういうことを分析していただかなければなりません。

去年は円が92円から81円になった1年間でした。そして対外資産は50兆円の評価損になっています。しかし、それに勝るとも劣らない50兆円、対外資産は増えてます。そういう結果が、所得収支の増減と、黄色いグラフの増減のところに本当は現れてくるんです。そういうふうな分析をしなければ、国家戦略として、果たして所得収支を増やしていくほうがいいのか、貿易収支をこのまま増やしていくのか、というような、単純にそういう話にはならないわけです。

輸出をどうしていくのか、それに見合った輸入をどうしていくのか、そしてその品目をどうしていくのかというような、総合的な戦略がなければ、TPPに入っていくのかどうか、というようなところの覚悟を、国民の皆さんに問うことはできないんじゃないかというのが私の主張です。

この間ずっと申し上げているように、国際収支と経常収支の、国際収支、経常収支、それと財政収支の本当は関係あるんですけれども、他の国が、アメリカやヨーロッパが、新興国の物を輸入して、財政も痛めて、経常収支を赤字にして、そして新興国の成長を引っ張ってきたわけです。しかし、もう財政も持たなくなって、アメリカもヨーロッパもケアできなくなった。

その中で、最後の買い手として、経常収支大きく黒字で維持してきた日本に先進国としてその役割を負ってくれと。世界はいまそのメッセージを発している中で、前回その説明もさせていただいた中で、なんでそういうふうな資料しか出てこないのか、ということを改めて指摘をさせていただいているということでございますので、改めて資料の共有をよろしくお願いいたします」

 経済学講義のような中村議員の演説のあと、司会の舟山議員が発言───。

「はい、今の点については、また必要があれば資料を追加していただいて、あとわからない点は個別に、どんな資料が必要なのかと齟齬がないように調整をお願いします。では三宅さん」

 三宅雪子議員が再び、外務省の姿勢を問い質す───。 

「あまり待たされたので怒りがだいぶ収まったんですけれども、外務省さん、昨日の朝まで言っていたことと、全然違うじゃないですか。言ってることが、何から何まで矛盾してます。

まず、昨日の朝まで、山田前農水大臣は、『資料はないのか』、『情報はないのか』とさんざんおっしゃっていて、(外務省は)『何も無い』とおっしゃっていた。そして、医薬品等のことに関しては、『議題に現在のぼっているとは聞いていない』と、『重要な案件はこれからだ』という話でした。

しかし、今の話だと、『あとから入る国は不利になる』と。なぜそれを今までおっしゃらなかったのか。私はいま、今までの議論はなんだったのかと、怒りを感じています。そして、『入らなかったらどうぞご自由に』といわれているのであれば、いま小林先生がおっしゃったように、入らなければいいじゃないですか。どうして無理やり入らなければいけないのか。またAPECまでにそれを決めなければいけないのかというのが、私は全く理解ができません。

また、岡田前幹事長が先ほど、新聞の一面などを気にすることはないではないかと言いましたけれども、国民の皆さんは新聞の一面を見てるんです。これは、違うものは違うとはっきり否定をしないと、これを見て世論というのは作られていくので、マスコミであった私の立場からハッキリと申し上げたいというふうに思います」

 福島のぶゆき議員の質問───。

「今日の16時59分、これ(PT総会)が開かれる1分前の時事通信の配信で、『TPP交渉参加野田首相表明へAPEC前10日で調整』、という記事が配信をされております。『野田首相は2日、環太平洋連携協定交渉に参加する方針を固めた、10日に記者会見して表明をする方向で最終調整する。複数の政府関係者が明らかにした』と書いてある。

私はかつて役人(元経産省官僚)だからわかりますけれども、世論を誘導するためにいろいろリークをするんですよ。ただ私はこのTPPに関するリークはひどすぎると思っているんですよ!」

 強い口調で怒りをあらわにする福島議員。複数の議員から「そうだ!」という声が上がる。

 福島のぶゆき議員、PTの審議を止めるべきだと、口調を強める───。

「こないだの毎日の2面、そして今日問題になっている東京新聞、そして何度も。もう野田総理が決めてるってんだったら、こんなPTやめればいいじゃないですか! もうやめましょうよこんなの! なんでこんなのやらなきゃなんないんですか! 我々は、ちゃんとそうしたリークを止めるまで、審議を止めるべきだと思います。意味がない。

なんでそうやってリークで世論を導こうとするんですか!? 副大臣、そうですよね!?
全部そうやって捻じ曲がってリークする。それに一番長けているのは、霞が関なんですよ!

私は、あまりにもこれはひどいと思うので、ぜひこの政府の情報管理の在り方をしっかりしない限り、我々は党で議論する意味はないと思いますので、今日はここでPTを閉じることを提案させていただきます」