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童話集「木苺 第2号」より “おくすりは なあに” ともながあ希・作
ともなが あ希

 カーヤとミュウのおばあちゃんの病気が、おもわしくありません。
 夜ふとんに入ると、決まってコホン、コホンとおばあちゃんのかわいた咳が始まるので
す。しばらくするとその咳は、コン、コン、コン、コンに変わります。
 カーヤと弟のミュウにとって、おばあちゃんのコホン、コホンは、やさしい子守歌になっ
てしまいました。
 でも、コホン、コホン、コン、コンが長く続くので、おじいちゃんや、お父さんお母さんは、
交代でおばあちゃんの背中をさすったり、汗をふいたり、熱いタオルで胸を湿布したり
と、咳が静まるまで大変なのです。
 お父さんたちの間では、おばあちゃんの苦しさを何とかしてあげたい、という思いが
日に日に強くなっていきました。
 おばあちゃんが元気なころ、みんなで何度となく遊びに出かけた小さな森。
 木々の緑が降り注ぎ、空気がしっとり湿っていて、おばあちゃんの病気にはとっても
良さそうな、その小さな森。
 そこに住めたら、どんなにいいでしょう。

 ある日お父さんが、その森に、すてきな家を
見つけてきたのです。  さっそく、カーヤの家族はそこへ引越ししました。
 引越し荷物の片づけは、とても大変です。
「ベランダのゆりイスに腰かけて、休んでいて下さいな」
 おかあさんが声をかけるのですが、おばあちゃんは
少しでも手伝いたくて、部屋の中を行ったり来たり
いっぱい働きました。
 でもその晩、おばあちゃんはほんの少しコホン、コホ
ンしただけで、ぐっすり休んだのです。
 お父さんたちは、この森の家へ引っ越してきたことを、
喜び合いました。
 「キョロロロロロ・・・、キョロロロロロ・・・」