ファッションやインテリアに関心の深かった私は、いくつかの婦人雑誌やインテリア誌を購読していましたが、 結婚して間もない頃、『暮しの手帖』に出会って、広告の無い簡素な装丁と内容の確かさ、濃さに、カルチャーショックを覚え、 それからバックナンバーを取り寄せ、100号まで定期購読していました。

「すてきなあなたに」は、『暮しの手帖』が第２世紀を迎えたときからできた頁とのことです。 今は亡き花森安治さんのイラストが添えられたエッセイは、増田れい子さんはじめ多くの方が綴っておられ、素晴らしい感性をわかりやすい言葉で描かれた情景が目に浮かび、読む者の心の奥深いところに届いて気持が温かくなります。
今回紹介するのは、連載されたものから選んでまとめられたもので、暮しの智恵やレシピ、ファッションなどの新たな発見をいただいたり、感動と生きる喜びを見い出せる逸本です。

『晒柿』の文章を書くときに、話し言葉でとも思ったのですが、「すてきなあなたに」の文体が心の隅にあり、“・・・ます。・・・です。”の書き言葉で綴っています。 もちろん表現力や語彙の豊かさには到底及びませんが、大切なお手本です。

家事の合間に、パソコンタイムを休め、またテレビをちょっと止めて、「すてきなあなた」を手に取ってみませんか。 最初から読むのも良し、パラッとめくった所を読んでみるのも良し、また目についたタイトルから読んでいくのもいいものですよ。
「すてきなあなた」から豊かな心をいただいて、すてきなあなたに！