なんと半年振りの更新になってしまいましたが、引続き安保徹先生です。
安保徹先生の著書の中で、この本が一番読みやすくて分りやすいと思いました。
この本は、家庭医学書として、ぜひとも備えておきたいものです。

B「こうすれば病気は治る」(2005.3.20)
安保 徹著  新潮社  1,000円+税

さまざまな異物の侵入にに対して、白血球は炎症を起して治している」と、白血球と自立神経との関係は繰り返し述べられています。
どんな炎症も、当事者にとっては辛いものだが、全て止めてしまうと、治る道筋がみえてこない。 たとえば、消炎鎮痛剤とステロイドは長く使っていると体が冷える。つまり、血流を止めて生体反応を焼失させて消炎している。 治癒反応のときには必ず血流が増えるが、それらに使用は、単に熱を下げるだけでなく、血流も止めている。 対処療法によって、治癒反応である症状を止めてしまうということは、せっかくの治るステップを、その治癒反応である症状を全て止めてしまうのは危険なことなのである。 症状は治癒反応であるという認識があるかどうかで、正しい対処療法ができるかどうかが決る。

【身近な病気の原因と対処法】

血管が開く時に痛みを伴う。これが頭で起きた場合が頭痛で、プロスタグランジンという物質が血管を開く時痛みを起すし発熱させる。(頭痛は熱までいかない)
バファリンなどの家庭薬は、プロスタグランジンの産生を抑制しているので痛みはなくなるが、ストレスがぶり返しているのと同じ状態である。 薬が切れれば、体は滞っていた血流を回復させようとして、叉痛みが始る。週間になってしまった頭痛薬を辞めない限り、頭痛は完治しないので、原因を取り除く方が先決。

 も月に一.ニ度患う頭痛はバファリンで抑えていましたが、この本を読んでからは、体操とクビや肩を温めることで、なんとか頭痛を解消しています。 友人がよくやってる方法ですが、回復反射による頭痛があまりにも辛い場合は、首筋を少し冷やすといいそうです。

肩こりは、固定した動作を続けたり、目を酷使するなどが原因で、頭痛と同じように血流が増えているのを抑えてしまう消炎鎮痛剤の使用は逆効果。
仕事の合間に体操をするのを習慣にすることが一番で、筋力をつける、緊張を蓄積しないことが大切。
また、五十肩の原因は老化現象でなく、“片寝”によって肩関節の血流が障害される。右側ばかりを下にして寝ていると右肩が痛くなる。運動不足によって筋力も衰えているだけでなく、 体重が一方だけにかかるのは大変な負担になっている。
予防と解消には、体操で筋力をつけること。“片寝”を避けること。 仰向け寝には、口呼吸になりにくいという利点もある。横向けで寝ると口呼吸しがちになり、扁桃腺を刺激して免疫系を乱すので危険。

 寝が原因だったとは、“目から鱗”。まさに私はこれで四十肩も五十肩もやりました。おまけに扁桃腺が弱いのは体質だと思っていましたが、それだけではなかったようです。 おかげで、原因が分ってからというもの、寝方が偏らないようにしたり、腕をほぐす体操をしたりで、肩の痛みは楽になりました。
意外なことに、歯周病も顆粒球の過剰反応によるものなのだそうです。頑張り過ぎ、気張り過ぎから交感神経緊張ゆえの顆粒球過多が作用し、口腔内を清潔に保つだけでは治らない。 生活スタイルを見直すことが大切とのこと。

他に、腰痛、膝痛、めまいと耳鳴り、不眠、こむら返りなど、だれもが一つや二つは持っている持病の要因と解消法について、述べられています。

【対処療法を誤ると重大な事態を招く病気】

胃潰瘍、脂肪肝、糖尿病、高血圧、狭心症など、成人病とか生活習慣病といわれているものの対処療法と癌について。発生の原因を解明することもなく、行き過ぎた対処療法によって、却って悪化させている。 こと癌については、治療に免疫を抑制する抗癌剤を使うことよりも、免疫機能を高め、自分自身の力(自然治癒力)で癌を治すという考え方に変える時期にきていると、おっしゃっています。 免疫機能を高める方法についても、副交感神経がつかさどる循環機能、消化器機能、排泄機能を高めることで、リンパ球の働きをよくして、癌の進行を止める。やがて自然退縮するという流れになるそうです。
先日の「エンジン01 夜楽」でも紹介した亀井眞樹先生のお話や、「ゲルソン療法」とも重なる内容で、

【女性の健康と病気】

女性は暖かい地方では長寿なのは、女性が「冷え」に弱いから。一方男性の長寿が標高の高い所に多いのは、気圧が低ければ興奮しにくいから。 つまり、女性の病気は冷えがつくり、男性の病気は興奮がつくる。
カルシウムだけでは骨粗鬆症を防げない。これは運動の問題で、仕事をしたり、散歩したりして体を興奮させなければ、いくらカルシウムを摂取しても意味が無いとのこと。
また、骨のコラーゲンへの沈着は、ビタミンDが行っている。ビタミンDは、不活性化の状態で体内でつくられ、紫外線で活性化するので、日に当らなければ骨は出来ない。

 る前にコップ一杯の牛乳を飲み、さして運動もせず、なるべく紫外線の当らない生活をしていた私は、骨粗鬆症への道を歩んでいたのです。

【健康法について考える】

自律神経のバランスの大切さ、呼吸法、食事法、ストレス、検診のこと、老化について、また漢方や東洋医学にもふれています。 どれも決して特別なことでなく、日常の中で実行していけることばかりです。何度も読み返しつつ、「自分の体を知ることで健康が保てる」・・・そんな思いを強くしました。


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