新緑の季節に伺ったO邸は、まるで森の中の別荘地のようで、ここが閑静な住宅の一角だということを忘れさせる佇まいです。
広い庭では、樹齢18年の欅をはじめ、いろんな種類の広葉樹や低木、花たちが、あるがままに息づき、モッコウバラのアーチも、それはそれは見事で、 歳月を経て住いと共に育ってきた風格を感じさせます。
さぁ、まずはゲストハウスのウォッチングを、ご一緒にどうぞ!


母屋との玄関を共有したRC構造の建物は、コンクリート打ち放しとアルミの色、柿渋色の木部とのコントラスト、シャープな大屋根に、 一見モダンな印象を受けましたが、一歩玄関に入るや、アジアの古い家具とインテリアのしつらえに、早くも目が点の私です。

設計は、『米蔵』や『茶房・藍』『ギャラリー花棕櫚』といった古民家再生も手掛けている建築家・冨田真知子さんです。
ライフスタイルやインテリアに対して、しっかりとした要望を持ったOさんとの打合せに、たっぷり時間を掛けてプランされたそうで、 トイレとサニタリー以外は間仕切りの無いワンルーム形式。大屋根の高い天井は、平屋にして吹き抜け空間を持ち、燦々とした陽光と風の通りを考慮された設計です。 居間・台所・サニタリー・寝室などへの暮しやすい動線は、来客のためのゲストハウスであり、ある意味では老後の住いでもあります。
家具やインリアの小物ひとつひとつに込められた思いと拘りに、アジアのリゾートホテルを感じさせるセンスの高さを感じました。



白をベースに、黒とグリーンとオレンジの色使い
そしてワインボトルの収納もインテリア!



梁を見せたベッドルームは、トップライトからの光が壁を照らし
北側でも明るいコーナーになっています。



サニタリーはシースルー!(もちろんカーテンも有り)
透明ガラスを使うことで開放感と採光を取りながら、インテリアの一部にもしてしまう発想で、 実は、ここが私のいちばんのお気に入りショットです。



ベージュの砂岩大理石に、洗面カウンター前のモザイクの大理石の色、マットのレンガ色、バスタオルの黒といったカラーコーディネートと、 外国の旅で寄った靴屋さんに譲っていただいたというポスターを目隠しを兼ねた衝立に使うアイデアとセンスにも脱帽です。


広めのトイレも、洗面ボウルやオブジェ、鏡のフレーム、ニッチ収納の小物など、 珈琲片手に座っていたくなるような、しつらえです。
ゲストハウスは、パスポートのいらない外国のリゾート地、それもセンスの良いインテリアの。
一見、非日常的でありながら、回遊的空間が何とも居心地よさそう。できうることなら、飼い猫になりすまして、しばらく居候したいものだと思いました。











NEXT