数年前のこと。
「この久米島紬を見て、あなただと思ったの」と、友人から男ものの古い羽織をいただきました。
こげ茶の絣地に生成色の縞柄の張りのある紬で、たしかに私好みの色と柄です。
ただ、自分の人生の時間を思い、「縞結城紬が最後」と言い聞かせていたので、着物に仕立て直すことは考えず、 しばらく箪笥の中で眠っていました。

今年の春(2010年)、「帯にしたら素敵だろうなぁ」とか、「袴風のキュロットにしたら、もっと身近に身につけられるのでは」との思いを巡らし、 まずは洗張りに出そうと、ほどき始めました。
古い羽織りだから、簡単にほどけると思っていたら、とても丈夫な糸で縫ってあって、全部をほどくのにずいぶん時間が掛かりました。
しかも不揃いの耳からすると、手織りの紬のようで、切り刻んでキュロットなど以ての外だし、帯にするのでさえ躊躇されました。
年金暮らしのいま、着物にする余裕はないけれど、単衣なら何とか・・・と、創作着物作家のFさんにお願いしました。

仕立てあがった縞紬の単衣は、友人の見立て通りの私色で、羽織裏の裏柄を居敷あて(襟の裏地にも)に使うセンスは、さすがと思いました。
友人とFさんの思いが縫いこまれた単衣を前に、いいようのない嬉しさに包まれています。




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