友人から、安保徹先生の話を聞いたのがきっかけで、このところ健康読本を読みふけっています。
今週から一冊づつ紹介します。“読書の秋”、興味ありそうな本から手にとって見ませんか。

@「未来免疫学」 (2004.9.19)
安保 徹著 インターメディカル \1,810+税

「高気圧の日は、きまって虫垂炎の患者が来る」という消化器外科医の福田稔氏と、免疫学の研究を続けてきた安保徹氏との出会いで、「福田−安保の法則」が誕生。 「あなたは顆粒球人間?それともリンパ球人間?」・・・謎解きのような文章に、難しそうな免疫学も興味を抱き、ぐんぐん読めてしまう一冊。

白血球は、顆粒球・リンパ球・単球(マクロファージーになるもの)で成り立ち、そのうち顆粒球は、体内に侵入した細菌や死んだ細胞などを食べて分解し、体を守っている。
細菌の侵入があると、多量の顆粒球を投入する為、骨髄でさかんに顆粒球がつくられ、細菌を退治した後は自爆して果てる細胞で、やっかいなことに、顆粒球が死ぬとき、活性酸素をたくさん撒き散らす。 この活性酸素が、組織や細胞を破壊する元凶である・・・つまりガンなどの病気の根源だというのです。ことストレスは交感神経優位になるので要注意とか。
一方、リンパ球は抗体の産生を担当し、ウイルスや異種蛋白など、顆粒球やマクロファージが処理できないものに対して働き、免疫をつけていく。

白血球と自律神経との関係で、顆粒球は交感神経(血管を収縮させて血圧や心拍を上昇させる)を、リンパ球は副交感神経(血管を拡張させて血圧や心拍を低下させる)を司り、 シーソーのようにバランスを取っているんだそうです。人はそれぞれに、白血球の中の食細胞系とリンパ球系のバランスが違い、それが気質にもなっているとか。
「顆粒球人間」は働き者で活動的、骨格も筋肉もりっぱ。「リンパ球人間」は、色白でおっとり派といいますから、 私はてっきり「顆粒人間」と確信してたのに、先日、白血球の成分検査を受けたら、リンパ球が40%ちょっと。 「怠け者がばれてしまったわ」と思ったら、子どもと女性はリンパ球が多いのだそうです。もっとも一日のうちでも変動があるといいますから、一度の検査では確定できないのかもしれませんね。

もしも長寿を願うなら・・・ほどよくリンパ球を増やす必要がある。
活性酸素の掃除屋さん、「スカベンジャー」作用を持つ栄養素(ビタミンA、E、C、βカロチン)を摂る。
コルステロールは、ともすると悪者扱いされるが、細胞膜の構成成分であり、胆汁、ビタミンD、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの合成材料で、 腸に送りこまれたコルステロールは、不飽和脂肪酸となり、生体内では重要な抗酸化剤・・・「スカベンジャー」として生体分子の鎮静化をもたらし、副交感神経を優位にする。 本来長生きには欠かせないものだが、血中での受渡しがうまく行かないと悪者になってしまう。
動脈硬化の原因となるのがLDLコルステロールの過剰で、酸素吸着の仕事を終えたコルステロールが肝臓へ回収される機構がスムーズにいってないことから起る。 肥満や運動不足が原因で、コルステロールが問題になるのは、過剰摂取の場合だけ。コルステロールと仲良く上手に付き合うのが、健康の秘訣。
私も、更年期に差しかかった頃から、中性脂肪の値が高くなり心配しましたが、散歩をすることで正常値になるのを知って、ひと安心。 一時は、肉類はじめ動物性蛋白質と油を絶ったこともありましたが、今は少し緩めています。

現代の医学では、動物は成長期の7倍の寿命を持つ。体重に対する比重が高いほど長寿であるなどの理由から、人間の寿命を130年とする説もある。 長寿を目指す人は、できるだけ日常の活動を少なくして、自分の活動の持分を、時間をかけてゆっくり使っていくことを心がければいい。
しかし、病気にかからず長生きすることばかりが人生の目的か?
ストレスが全く無い状態が必ずしも最善ではなく、ストレスを自分への刺激剤として上手に使うことが大切。 天気に高気圧と低気圧があるように、顆粒球とリンパ球の揺れ動くリズムを大事に生きていけばいい。
脈拍を測って、自分のリズムがつかめればしめたもの。 「顆粒球人間」と「リンパ球人間」は、どちらが優勢なのか。答は、脈拍のリズムに隠されている・・・のだそうです。


A「医療が病をつくる」 (2004.9.26)
安保 徹著 岩波書店 \1,800+税

こちらは、「未来免疫学」をより深めた専門的な内容なので、読みやすい見出しを拾い読みしました。 その中で、面白いと思ったのは「血液型と性格」について。「血液型・・・」は巷でも本が山とありますが、こちらは違った角度で分析しています。

現在の人類ホモ-サピエンスはアフリカで生れ後、世界中に拡散していったが、血液は全てO型で始って、各人種の多くはO型である。
腸管の細菌叢の持つ糖鎖抗原に対して、A抗体B抗体が生じた。〜抗体を作る必要性は、O型。B型、A型、AB型の順となる。
リンパ球のレベル(O型39%、B型37%、A型36%、AB型36%。)によって、性格の違いが生れてくる。すなわちリンパ球人間は、ストレスに強く持続力がある性格になるし、顆粒球人間は、感受性が強く芸術肌の性格となる。 しかし、数レベルの違いなので、全ての人が血液型に左右されるわけではない。あくまでも傾向として出るとか。
O型の私は、やっぱりストレスに強いんだと、リンパ球人間であることに安堵していますが、果して?

■癌の原因は働き過ぎと心の悩み

病気の80%は、生活習慣病(食べ物やタバコなどの嗜好品)と広い意味でのストレス(働き過ぎや対人関係による葛藤、心の深い悩み、排気ガス、農薬、環境ホルモン等)や医療における薬剤使用上の間違いに寄って起っているものと考えている。
交感神経の緊張が続くと顆粒球が増え、活性酸素の強い酸化作用に寄って細胞が痛めつけられ、細胞の再生限界を超えると細胞増殖関連遺伝子に異状が起る。それが癌遺伝子である。痛み止めの長期使用も、危険である。

■癌になってしまったら

抗癌剤や放射線を用いた治療は、一見効果をあげているように見えるが、これは同時に骨髄の造血巣を破壊し、リンパ球の産生を抑制しているので、再発率が高くなる。
交感神経緊張の原因を探り、それを取り除くこと。「顆粒球過多」は、癌になったあとでも可塑的で、原因を取り除くと自然退縮を始める。 抗癌剤や放射線などの治療をやめ、健康食品などを利用して治癒した癌患者も、奇跡でなく、本来癌とはこういうものなのである。 また、「白血球の自律神経支配」に基づいた発癌原因の除去は、驚くほどの率で効果をあげていて、近年、抗癌剤や放射線に頼らない癌治療を進める医師が増加しつつあるそうです。 そういうお医者さんを、今のうちに探しておくことが治療の一歩かもしれませんね。

■ストレスは万病の元

ストレスはかならず全身の血流循環障害を伴い、皮膚の瑞々しさを失い、顆粒球の増多による可能性の炎症が起きやすくなる。 また、ストレスによる皮膚の異常は、かならず内臓の変化を伴い、骨も循環障害によって変形してくる。
原因をそのままに対処療法を続けると、病気はかえって悪化することになる。

■病気とは何か?(永野氏からの手紙より)

元気というのは、エネルギーが正常な状態。病気とは「気」が病いになっていることで、気の異状と体の異常の両方を含んでいる・・・東洋医学の概念。 西洋医学では気の概念がないから、体の異常だけを対象とする「病体の医学」である。

■治療医学の問題点・・・・病気を治すはずの医療が、じつは病気をつくり出している?

医学の進歩より早い薬の開発は対処療法として使われ、原因を無視した治療に磨きがかかる。 医学が破錠し始めている理由にひとつには、薬の進歩に「病気の本質を知る」考えが追いついていかないことにある。
抗生物質、抗癌剤、消炎鎮痛剤、ステロイドホルモン、制酸剤、血圧降下剤、精神安定剤など、対処療法として使われている薬が、かえって交感神経刺激反応と誘発することになり、免疫力、治癒力を妨げている。
う〜ん、時には藁をもすがる思いで治療に励むことが、かえって悪化させているというのです。
ひどい頭痛で悩んでいた友人の一人が、まさに頭痛と薬の連鎖でしたが、最近は薬を服用せず、首筋を冷やして(血管拡張が原因とか)対処しているとか。 月に1.2度は頭痛のために鎮痛剤を服用していた私も、頭痛原因の緩和を心がけています。

■免疫学・・・白血球は自分自身

医者も一般の人も、白血球は自分自身であり、生物の活動状態を完全に反映して揺れ動いているということ、また「その人が日常に使用しているエネルギーと白血球数は比例している」ということを知る必要がある。

ここからは専門的な言語が連なり、何度読んでも目が滑ってしまいますが、健康管理を医者任せでなく、自己管理の指標として、白血球の成立ちに関心を持ちたいもの。また、折に触れている東洋医学も興味深いものがあります。


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