「気」をテーマに

以前から「気」というものに感心があり、気功を初め、いろんな本に触れています。

野口晴哉さんの野口整体と哲学、その考えを取り入れた片山洋次郎さんの具体的な施術解説や、 天野泰司さんのイメージを主にした、やさしい気功・・・実は、ここがスタートで、野口晴哉さんに辿りつきました。

野口整体では、人それぞれが持つ体のひずみを体壁とし、「上下型」「左右型」「前後型」「捻れ型」「開閉型」のそれぞれを、 何かに集中することでエネルギーを発散する奇数タイプと、エネルギーがこもりやすい偶数タイプに分け、 それに、過敏反応・反応遅鈍を加えて、14種類の体壁を系統化し、解説しています。
体壁による性格・思考などの分析は興味深く、無理に矯正するのでなく、施術(気)を通して、 楽(治療)にしていく考え方は、いままでの整体(カイロプラクティック)の概念を覆すものでした。
また、いろんな能力を持ちながらも、してはならないと悟ったことに終止符を打つ、野口晴哉さんの姿勢が、潔いと思いました。

つい最近読んだ藤平光一さんは、病いを通しての気づきから「氣」を極め、 「氣は超能力ではない、氣ほどありふれたものはなく、天地のいっさいのものが、氣で出来ている」と。 (気ではなく、あえて氣を使われています)
“藤平式氣の呼吸法”については、とても分かりやすく書かれているので、私も取り入れられそうです。
藤平光一さんは、戦時中、豊橋の予備士官学校に来ていたことがあるとのこと。
図書館で借りた著書「氣の威力」に、高師(いつも散歩している緑地公園が、予備士官学校の跡地)や天伯(演習場だった)などの地名が出てきました。
優れた直観力と正義感溢れる生き方に、思わず拍手ですが、 きっと同じように感銘を受けたであろう何方かは、そこいらじゅうに鉛筆でアンダーラインを記していました。

気功ではないけれど、生き方に惹かれた、「にんじんから宇宙へ」の赤峰勝人さん、 「奇跡の林檎」で紹介され、著書「自然栽培ひとすじに」に感銘を受けた木村秋則さん、 自然農法の先駆者であり、「わら一本の革命」の福岡正信さん、後に述べる中村天風さんの共通したものは、 人生への深い挫折感や、死への境涯の中で、生かされていることや宇宙とのかかわりを悟り、各々の哲学に至ったことでしょうか。

渡辺貞夫さんとリチャード・ボナとのコラボレーションでもある、2003年のアルバム 「WHEEL OF LIFE 」は、 エリザベス・キューブラ・ロスの著書「The Wheel of Life(人生は廻る輪のように)」に感銘を受けて、タイトルにしたそうです。
その前年、痛ましい事件に遭遇したお兄さんへの、貞夫さんの想いもこめられていたのかもしれません。
その本を読んで、私も「輪廻転生」というものに関心が及びました。

膨大な数の著者・船井幸雄さんの「イヤシロチ」は、今いちばんの関心ごと。
その船井幸雄さんの本に、たびたび登場する中村天風さんの著書「盛大な人生」(会員に向けた講演会の記録)を借りて、読んでいるところです。
波乱万丈の人生と、ヨガの大聖人カリアッパとの出会い、のちの「天風会」を設立して、「人の心は、その人をつくりもし、壊しもする」と説き、 真っ直ぐで強い信念と、江戸っ子弁でのユーモアのある喩えが、なんとも可笑しく、ことインドで修行中のカリアッパ師との会話は、何度読んでも笑ってしまいました。
そしてまた、その語り口は、フーテンの寅さんとも重なるのでした。
出来ることなら同じ時代に生きて講和を聴きたかった、会いたかったなぁと、心底思ったお一人です。

一冊の本から、いろんな方面に広がり、しばらく連鎖読が続きそうです。
退職してからの自由な時間は、きっと、この気づきのためにあったのかもしれないと思うこの頃。 右往左往しながらも、なにか見えてきたように思います。