子どもも大人も嬉しくなってしまう、ホットな絵本やさんが、石巻にオープンしました!
(2003.9.21)

5月の連休に、名倉アートフェスティバルに行った折、 『GALLERY IORI SPACE』の辻さんから、豊橋石巻で絵本やさんの改装を手掛けているとお聞きしましたので、 オープンを心待ちにしていましたが、8月の終りに案内をいただき、さっそくおじゃましてきました。

住いの一角に託児所として使っていたところと繋げて増築したスペースに、動線よく本棚が並び、絵本をインテリアとしても見せているディスプレイと、 窓の計画がうまい辻さんらしい設計で、明るくて居心地のいい空間の絵本やさんです。

オーナーの鈴木千恵子さんと辻さんとの出会いは、千恵子さんのご友人のそのまたご友人が、作年の名倉アートフェスティバルに参加されたそうで、 そのお手伝いで名倉へ行き、辻さんとお話したのが始り。辻さんは家具工芸家であり、ご自分のギャラリーはもちろん、最近は店舗の空間デザインも手掛けています。
「絵本やさんをやりたい」という千恵子さんの言葉に、辻さんの目がキラッっと光ったんだそうです。辻さんの奥さんの順子さんも、絵本には深い関心を持っていたこともあって話が弾み、 「空間をやらしてほしい」という辻さんにお任せして、プランニング・工事へと進んだとのこと。必然的な出会いというものがあるのですね。
千恵子さんは保育士の経験を生かして、長年託児所をされていたのですが、体力的な限界を感じて辞めることを決心しました。が、 子どもたちとの触れ合いが好きで、今までしてきたことと繋がりのあることを続けていきたいという思いと、 夢でもあった絵本やさんをやりたいということを、ご家族や周囲の人に公言したそうです。
一時は「このまま進んでほんとにいいの?」という不安もあったそうですが、ご主人から後押しと、託児所部分の内外部分の塗装など、体力的な協力を得て、また、周りの人たちの心強いボランティアに助けられて、 オープンに至ったと言います。

Tap Tap たぷたぷ・・・まるで海に浮かんでいるような、響きのいい言葉です。どんな思いが込められているのかを伺いました。
「自分のことそのまんまね」(体型がね、と楽しそうに話す千恵子さん!)という感想もあったそうですが、ネーミングにあたっては、音(語感)が簡単であることと、 託児所のコロポックル(アイヌ語で“大きな蕗の葉の下にいる小人”という意)との繋がりもあるようにと、アイヌ語の辞書を紐解き、見つけたのが“丸める”と言う単語のチエコタプタプ(チエコがつくなんて、これも出会い?)。 チエコを取って、タプタプに決め、ロゴの書体や色使いは、辻さんと合同で作ったのだそうです。目玉があるところがなんともユーモラスでかわいい!

本棚に立掛けてあったギターを見つけました。千恵子さんのだそうです。「PPM(ピーター・ポール&マリー)が好きでバンドをつくってるの」と、小さな声で教えてくれました。 元託児所だったスペースは絵本の読み聞かせやイベントなどにも使うそうで、オープン前に訪れたバイオリンニストのお父さんが、このスペースをとても気に入って、ご子息のコンサート(文化会館)の前にとスケジュールを調整して、急遽ミニコンサートを催したとのことです。

託児所を巣立った子どもたちや、その親御さんが訪れたり、仲間が集ったり、・・・Tap Tap(たぷたぷ)は、コミュニティと文化の核となるような絵本やさんなのかもしれません。 初めてお会いしたのに、心のバリアを取り払ってしまう不思議な力を持った千恵子さんとお話して、そんなふうに感じました。
絵本は子どものためだけにあらず。私も子育て中はたくさんの絵本に触れて子どもたちに読み聞かせながら、なんと多くの感動を私自身がもらったことか。 愛する家族の、大切な人への、そして自分の絵本探しに、『Tap Tap たぷたぷ』へお出かけになりませんか。


http://tap-tap.net/