NEKO DORI というサインのある建物のスライドに
「なんだろ?」と思ったら、イタリア民家を改修して住んでいた頃、その地域は猫が多く
デザイナーの人がNEKO DORI の看板を作ってくれたそうな。
そして次のスライドが映し出され、下の方に写っている茶トラの子猫(小さかったときのチビそっくり)に思わず

「カワイイー!」

「こちらを見てくださーい!」

と、赤い光の出るレーザーナントカやらで、上の方の建築金物をクルクル示す好文さん。
そうでしたわ。今日は建築金物!(でも、ちゃんと猫も撮ってるのね)

「ヨーロッパの金物には、いろんな工夫がされていて、それらを見ながら
“何でだろう?どうしてなんだろう?自分だったらどうするだろう?”と考える楽しさがある。
たとえば、雨戸は木製のよろい戸が多く、それを止めておく金物に
ベレー帽を被っているものやターバンを巻いた聖人などがあり
お辞儀をするものや、ウン!と頷くものがあって面白い」(この表現も面白い!)

「サン・マルコ修道院の僧房の小さい窓は、三種類の開けかたが出来るようになっていて
光の取り込みかたを調整できるようになっている」


ルイス・カーン(アメリカ)の発想は哲学的でよくわからないが、建築を見るとよく分る。
ステンレス製の細工がすばらしい手すり」

「アルヴァ・アアルト(フィンランド)の建築に付けられている金物は
手触りがよく、アアルトの建築と握手(好文さんのこの表現がいいな)を出来ます。
ヨーロッパでは便利な自動ドアがあっても、不便さをいとわず、敢えてやらないというのがよろしい」

スティーブン・ホールが手がけた建物の隣家の
ル・コルビュジェを意識したような窓のデザインに目をとめた好文さん
小さな部品に建築の精神が宿ると感じたそうです。
なかなかピントの合わないフィルムがあって、好文さん自ら調整したのですが、やっと合ったときポツリと

「あー、よかった。やってる間に老眼が進んだのかと思った」  控えめ(のつもり)に笑う私

「隣で受けないでくださーい」  なんだか漫才してるみたい

一人でテレビを見ているときでも、テレビと会話してしまう私は、好文さんのスライドを見ながら
同じように相槌をうったり、感想を述べたり・・・横にいらっしゃるのにダンマリもなんだしね。
ときおり横を向いてスライドの解説をする好文さんと、会話???



中村好文さんデザインのストーブ、NAYAN
ネーミングの由来は製作者が金沢さんといい、その地方では金沢さんのことを“かなやん”と呼ぶそうで
NAYAN になったそうです。
このストーブは、スライド式ダンパーで炎を調整できる優れもの。
お鍋ややかんをのせておくことも出来ます。
取っ手にウォルナット(胡桃)の木を使って、手触りを優しくしているのだそうです。



建築金物は、人間の智恵が形になっていて、ローテックほど面白い
普通の方法で智恵が働くようなデザインが必要

一番好きな建築金物は・・・

「ねじ締り」です。




中村好文氏のお話、いかがでしたか?
ほんとは、もっともっと濃い内容のお話でしたが
老化現象が進んでるワタクシゆえに、全部お伝えできなくて残念です。
建築の好きな方、ぜひ著書のご一読を!

著書の紹介

『住宅巡礼』(新潮社) \2800円(税別)
『普段着の住宅術』(王国社)\1800円(税別)
芸術新潮9月号(新潮社)特集 建築家・中村好文氏と考える『住宅ってなんだろう』\1200円(税込)
『普請の顛末−デザイン史家と建築家の家づくり』(岩波書店) 柏木博+中村好文 \2200円(税別)