TALK-TALK タイトル    和箪笥がやってきた!

きものに憧れ、昨年の秋口から着付教室に通い始めたものの、その時に持っていた着物は、数年前にコムサデモードで買ったポリエステルの小紋が、たった一枚。 その後、浴衣でのお稽古が過ぎたころに、ひょんなことから男物の大島紬を誂て、周囲を驚かせてしまいましたが、自分でなんとか着られるようになると、欲が出てくるものなのですね。 帯も、コムサで揃えたリバーシブルの袋帯と、大島紬に合わせた織り帯に、更紗と裂織りの帯が加わりました。 草履に至っては、下駄も含めて5足も! そして、限りなく黒に近い・・・柿渋染めをどんどん深くしていったような、赤みの黒の生紬が、次の目標です。

少しづつではありますが、きものまわりが増えてくると、それを収納する箪笥も欲しくなるというものです。 ただし、「箪笥がいっぱいになったら、お終い」(のつもり)ですから、あまり大きくてはいけません。 そこで先日、『古美術・神田』さんにおじゃました際、「間口90㎝位のなるべく小さめ」の箪笥を探していただくよう、お願いしました。

店主の神田さんは、古美術・骨董の情報誌『小さな蕾』(No.340)で、『和箪笥の美』という特集を執筆されるほどに、和箪笥への造詣が深い方です。 情報網も広いのでしょう、ほどなく「見つかった」との連絡をいただき、搬入日も決って、「どんな和箪笥がやってくるのかしら」と、とっても楽しみでした。
“もの”との出会いも、人との出会いと同じく“縁”があってのこと。
『晒柿』でもお馴染みの、“そばの横好き”さんから、『古美術・神田』さんを紹介していただき、その神田さんのお眼鏡に叶った和箪笥が届くのですから、 これは“そばの横好き”さんご夫妻に、ぜひともお披露目しなくてはと、お誘いしたら、ふたつ返事で駆けつけていただきました。おまけに箪笥運びまでお手伝いしてもらって、感謝感謝。

さて、“会う”まではドキドキの和箪笥は、酒田産の庄内箪笥とのことです。希望どおりの間口で、share-gaki 好みの深い色と、シンプルな角手が、すっかり気に入りました。
和箪笥が加わったことで、“和”とも”アジアン”ともいえない我家の設えに、どっしりした落着きが感じられるようになったから、その存在感たるや、さすがです。
ふと、コンタックスRTSを手に入れたときのことを思い出しました。「中古とはいえ、あなたはポルシェを手に入れたようなもの」・・・写真を撮ることに目覚めたのは、それからでしたが、 ひょっとしてこの庄内箪笥も、同じことが言えるのかもしれません。和箪笥に寄り沿い、その魅力に惹かれて、これからの人生を共に過すことになるのでしょう。

   

デジカメでさっそく撮ってみました。フラッシュをたいているので、やや赤みがかった和箪笥に見えますが、実際は海老色(えびいろ)で、間口84cmながら、たっぷり入りそうな深さがあり、二段を並べて置いても良い感じになりそうです。
タイトル下の黄色い花は、神田さんのお庭からいただいた、“金糸梅”。 右側は、この日“そばの横好き”さんご夫妻からいただいた、筒描の家紋入り油単を掛けた写真で、青緑に見える油単は、share-gaki 好みの、木賊色(とくさいろ) を少し晒した感じの色。 柄の「丸に木瓜(まるにもっこう)」は、“そばの横好き”さんのお宅の家紋と同じなんだそうです。


人との出会い、“もの”との出会いをしみじみと噛みしめながら
また、お三方の温かいお心遣いに、静かな歓びと感動の余韻に浸りつつ、拙い文ではありますが
感謝の言葉に代えさせていただきます。