アトリエの隣は、船底天井に垂れ壁風の板と床の間のある和室で、絨毯を敷き、テーブルを置いて、居間として使われています。
和洋の骨董に、テーブルも椅子も収納棚も、全てアンティークもの。イギリスの書棚は、ガラスを上にあげてスライドさせるもので、アンティークグラスや、お茶道具が並んでいます。
この建物自体は、戦後数年経ってからのものだそうですが、本棚に並んだ文庫本も、いい色に焼けて、ふとその時代にタイムスリップしたかのようです。



住宅に使われている材料は、無垢だとか土壁や漆喰といった自然素材ではなく、壁は新建材の幕開けを思わせるような、 木目のプリント合板(まだビニールクロスが普及前)や繊維壁ですし、床も合板材でした。
なのに、それを打ち消してしまうかのような住み手のセンスに、目から鱗。
つまり、「家」という箱を、いかに自分側に引き寄せて住みこなすか・・・であって、もちろん、気持のいい素材にこしたことはないのですが、 それ以前に、生き方や暮し方が、住いの空気として如実に現れるものなんだと、改めて感じた、アトリエ訪問でした。 また、古い家具や道具の不具合を修理しながら愛しんで使い込んでいく、その精神が、ひょっとしたら“ものつくり”へのインスピレイションやイマジネーションになっているのではと、納得した share-gaki です。