芭蕉布会館と平良敏子さん

芭蕉布・・・昨年から始めた着付け教室が火付け役で、着物への興味が広がる中、 「樋口可南子のきものまわり」に登場した芭蕉布んの帯、碧南の『呼夢想』さんで見せていただいた、百数壱拾万円!の帯、瑞浪芸術館でお会いしたFさんが締めていた渋い帯、 そのFさんのお宅で見かけた「平良敏子の芭蕉布」という本など、知らず知らず芭蕉布にも関心を持ち始めたこともあって、 沖縄の旅では、ぜひとも芭蕉布会館へ行ってみようと思いました。
また、沖縄に移住して織物を手掛けている、おはるさんにお会いできるのも、この旅行の何よりの楽しみで、 ありがたいことに、おはるさんも同行してくださるというので、二重三重の喜びでした。

この日、5歳になる、はじーくんの運動会を終えた後、待ち合わせの芭蕉布会館まで飛んできてくださった、おはるさん。 初対面なのに、長い黒髪を束ね、小麦色に焼けたおはるさんの素適な笑顔に迎えられて、なんだか初めてお会いした気がしませんでした。
おはるさんは、芭蕉布会館で三年ほど研修生として過した後、今は村営住宅に暮しながら、独自の織物を手掛け、個展やギャラリーなどに作品を置いています。
プロフィールや活動の様子は、おはるさんのサイトをご覧になってね。 Cocoon and Snail *まゆとかたつむり

さて、おはるさんに芭蕉布会館を案内していただきました。 まずは、芭蕉布が出来上るまでのビデオを見た後、作業所の見学です。(撮影禁止でした)
この日は土曜日だったので、出ている人がいつもより少ないそうで、乾燥を嫌う芭蕉のために加湿器の蒸気に包まれた工房は、三人の方が帯や上布を織ってるところを見学しました。
平良敏子さんもいらっしゃって、苧績み(ウーウミ)〜苧挽きした紐から糸をつなぐことで、芭蕉布の製作工程の中でもっとも時間がかかる〜をされていました。
ほどなく三時になり、お茶と手作りの珈琲ゼリーをいただきながら、話題はこの日の運動会。平良敏子さんの曾孫さんも、はじーくんとともに活躍。 幼子のいる暮しの様子を、楽しそうに語る平良さんの笑顔も、ほんとに素適でした。

「10月の終りに、伝統工芸の・・・(情けないことに思い出せない)があるの」 「こうした会には着物で行くのがいいけれど、だんだん着付けがしずらくなってね、洋服でいこうと思ってるの」と、平良さん。 いつもは、芭蕉布、大島や宮古上布、八重山など、沖縄の織物を纏って行ったそうです。

喜如嘉の芭蕉布は、重要無形文化財として国指定され、その芭蕉布の復興に取組んでこられた平良敏子さんは、国の重要無形文化財保持者(人間国宝)として、後継者の育成に力を注ぎ、今なお現役でいらっしゃいます。
その平良さんにお会いできたのだから、芭蕉布のことを・・・と思いながらも、芭蕉布に対して“付け焼刃”ほどにも知らない私は、つい気後れしていましたが、 運動会の話題で緊張感(この私でもしてたんですよ)も和らぎ、「この空気がいいなぁ」と味わっていました。

さて、休憩時間も過ぎ、そろそろおいとまです。
豊かな緑とオオシマゼミの鳴き声にに包まれた芭蕉布会館を後にしました。

「平良敏子の芭蕉布」
NHK出版 ¥3,000円+税



「KOKOCHINOより・・・平良敏子さんに会いに行く」
¥980円税込