.   (2005.12.1)
 

「住む。」「自休自足」「和風が暮らしいい」「別冊天然生活」など、暮しをテーマにした雑誌に、たびたび登場し、 「おいしいをつくるもの」(主婦と生活社)という本もだされている、時のギャラリーですから、 share-gaki ごときが取材だなんておこがましく、表現力さえも乏しいのに、それでも紹介せずにはいられない。 そんな思いに突き動かされたギャラリー&カフェです。
すでに行かれた方が多いかとは思いますが、share-gaki 的好奇心のレポートを、どうぞご覧下さい。 (写真は、二度目の10月に伺った時のものを中心に、11月の分も少し足しました)




東海道五十三次の宿場町のひとつ、三重県亀山市関町の「而今禾」へ何度も足を運ぶ友人たちに誘われて、初めて訪れたのは真夏に開催されたライブの日でした。
その日は関町のお祭とも重なって、地元の人やそぞろ歩く観光客で賑わい、懐かしい映画のひとコマに入り込んだような情景でした。
角地の古民家が、「天然素材工房・而今禾」で、風化した味わいのある板看板に、「而今禾」の全てが表れているように思われました。


軒を連ねる宿場町ゆえに、何度も大火を出した歴史を繰り返してきたそうで、 「而今禾」の築150年というのは、その意味でも貴重なのかもしれません。

土間に並ぶ電気配線に使われた碍子や時代を刻んできた古い道具、子供の頃に見た懐かしいモノたちが、 この古民家に沿うように置かれています。それも現代の作家さんのものと違和感なく。
隠れ家的な小屋裏は、友人たちにとってのお宝部屋です。 低い天井の薄暗い部屋に座り込んで、ひとつひとつを手に取って味わう楽しみ。
そして、オーナー川田さんの静かな語りを聞きながら、継がれてきたもの、使い込まれたものへの思いを馳せ、 慈しみと一緒に連れて帰る至福のひととき・・・。ゆるやかな時間の流れに、友人たちが何度も訪れる理由を肌で感じました。


 而今禾オリジナルのお椀は、ほっこりと手にやさしい

「而今禾」の而今は“今に生きる”、禾は“耕す”という意味とのこと。
松坂で始めてから15年目、関町では7年目を迎え、これからも衣食住を通して暮しに関ることを学び発信していけたらとおっしゃる米田さん。
川田さんと米田さんご夫妻は、200坪の畑を借りて、朝は4時起き!で、農作業をされているそうです。
その収穫した野菜や地元のものを使ってのお昼御飯も、「而今禾」での楽しみのひとつですし、オーガニックなパンの美味しさも評判です。

「自休自足」の7号と9号に、“一人暮らしのおばあちゃんの家”の改装の記事を載せていますが、 今また、タイミングよく借りることが出来たスタッフの宿舎ための町家を改装中とのこと(10月に行った時のお話で、これも「自休自足」11号に記載)。 ご自分たちも手を掛けながらの改装に取り組んでいらっしゃるそうです。

着物に親しんでこられた米田さんの影響もあってか、若いスタッフも着物に興味を持ち、夏の夜のライブでは浴衣に着替えていましたし、 つい先日の「紬の着物展」でも、着物姿で迎えていただきました。



裏まで通り抜けることのできる土間は、ちょっとした路地裏のようでもあります。
さりげなく置かれた野菜たちも、ここでは輝いていました。


      





ギャラリーから中庭を挟んでカフェへ。土壁部分は増築された厨房で、窓格子から漏れる灯りに、ほっとさせられます。