設計者の宮里龍治さんとの出会いは、彼が設計した平屋で大屋根の農家を見学して、いたく感動したのと、 同級生が時計屋さんをやっている三ケ日四辻坂の集合店舗にも、宮里さんが関っていたことを知っていたこともあって、 宮里さんとは出会うべくして出会ったと。
計画から完成までの二年余り、楽しくてワクワクの連続で、 静岡の蔵元から引取った大谷石や、瀬戸の蔵元で譲られた道具等の素材を生かして欲しいという以外は、 設計プランの要望を言わずして、満足度200%!
“古いものを生かす”という工程は、時間のかかる作業でもありますが、「ゆっくりでいい、合わせよう」という気持になり、 その満ち足りた過程の中で建物の形が出来上っていくうちに、大きな間違いに気が付いたといいます。
それは当初、フレンチも考えたけど、本当の店の味は?顔は?誰がやるの?・・・と。 そして、素人の範囲でやれることを、もっと楽しくできる方法を、今までにない方法を創り出していこうと思ったそうです。

古材を使った家具は、un neuf (アン・ヌフ)でもお馴染みの中西康之さんが作製。(近々、アトリエを訪問)
使い込まれた木目や割れた継目、節、傷までもが美しく輝いて、テーブルや収納扉に生れ変り、より味わい深い雰囲気を醸し出しています。
床の色の、古色塗料の久米蔵(柿渋に弁柄を混ぜたもの)を塗る予定が、手違いで柿渋しか入荷しなかったので、急遽弁柄を混ぜて色を出したそうです。
夏目家は先代が和菓子屋さんだったこともあって、残っていた落雁の木型を、インテリアとして使っています。腰掛けた目線の高さというのも、心憎いですよね。 シンプルな照明、柿渋染の酒袋で作ったパッチワーク風の素適な暖簾も、インテリアスパイス。 器は白磁を使いたかったとのことで、PALPÉR(パルペ)を主宰している鈴木史子さんの作品を見て、器を注文されたとか。

酒米を使った五平餅(これが美味しいの!)、おにぎり、コロッケの他に、和スイートの玉手箱、ワッフルなど、 嬉しいオリジナルメニューが揃い、水も、お酒の仕込みに使われる天然水で珈琲等を淹れる拘りようです。