第9回 「チョウの生態を探る」 (2003.8.13) 講師:白井 一伸氏
今回の講師は、浅間神社へ行った折、虫取り用の網を持って、始終ニコニコしていた方で
“虫取り小僧が、虫取り青年に、虫取り中年、虫取りジジイになって、 おてんとさまの下で召されればいいかなぁ”
とおっしゃるくらい、昆虫の虜になっている白井氏から
チョウについてのお話を伺いました。
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【はじめに、名前を覚えましょう】
“分類はすべての基礎です。10聞いて、ひとつ覚えるでもいいから、名前をきちんと覚える
日本では230種前後の蝶がいて、一匹でいるものから何十匹のまとまりでいる蝶もいる”
モンシロチョウとモンキチョウ・アゲハチョウしか知らなかった私も オレンジ色のベニシジミをひとつ覚えました。

【幼虫は何を食べる?】
アゲハチョウ・・・柑橘類 モンシロチョウ・・・キャベツ
モンキチョウ・・・シロツメグサ(クローバー)
【擬 態】
蝶の中には、毒のある他の種類の蝶や食べてもまずい蝶の紋様を真似て 鳥などから身を守るものがいます。
特にメスが擬態するケースが多いようです。

羽根を閉じた時、枯葉のようにに見えるコノハチョウ

ミドリシジミは、羽の突起が頭にも見える(鳥の攻撃から頭を守るために)
羽根の表は、美しいグリーンです。

シロオビアゲハ(左)は、毒チョウのベニモンアゲハ(右)に擬態し 厳しい自然界を生き抜いています。
ベニモンアゲハとのみ分け方は、腹部が黒ければシロオビアゲハのベニモン型
腹部が赤ければベニモンアゲハです。

ジャコウアゲハも毒羽を持っていて、まずいので鳥は食べないとか。
【渡り】

アサギマダラは、春の北上、秋の南下を繰り返す「渡り」をするチョウとしても知られているチョウで
マーキング調査では、数百キロも離れた場所で発見されたりもするというから驚きです。
初夏から発生し、晩夏から秋にかけて見る機会が多くなる。
マーキング調査は伊良湖でもおこなわれており マジックで羽根に日付と電話番号を書くそうです。

イチモンジセセリは、
8〜9月頃に一定方向へ長距離飛翔することから
季節移動性が強いチョウとしても知られる。
幼虫は、イネ科・タケ科・カヤツリグサ科の多くの種類を食べるが
特にイネの害虫とされる。
【ヒメヒカゲの一生】(スライドにて鑑賞)

ヒメヒカゲは、本州中部の山地帯と、東海地方
近畿中国地方の明るく開けた草原に局地的に棲息しています。
幼虫はカヤツリグサ科などを食し、
絶滅が心配されているチョウのひとつです。
ギフチョウもそうですが、絶滅の危機に瀕している生物の捕獲を禁止するのでなく
どうしたら繁殖できる環境を取り戻すかを考えることの方が大切 と、白井先生は力説しておられました。
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幼虫のいも虫や毛虫からは信じられないほど
美しく変身するチョウに惹かれるひとは多いんでしょうね。
美しさもさることながら、生態の謎がそうさせるのかもしれません。
講座ではチョウの標本を見せていただきましたが、
今回はネットから画像をお借りしました。
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