暮らしの愛着道具 Vol.03
「クラシック扇風機」

晒柿・暮らしの愛着道具
2004.11.21
もう16.7年ほど前のこと、リフォームの打合わせでおじゃましたお宅は、住宅メーカーで建てた、ごく普通の家でしたが、玄関から和室、居間、キッチンに至るまで、お子さんの作品から、趣味で集めた数々のコレクションが、歩けば当るほどに溢れ、
なのに、それが雑然と言う感じではなく、ちょっとしたギャラリーのようで、カルチャーショックを受けたのでした。

中でも、庭の樹木で覆われて薄暗くなった居間に、白熱灯のスタンドをひとつだけ点け、ゆったりした木のベンチが置かれて(ソファではなく)、小さなアンティーク扇風機が回っていた情景を、今でも鮮明に覚えています。
まるで避暑地にでもいるような雰囲気で、アジアンコレクションの置物たちを眺めながら、まだ行ったことのないバリとは、こんな感じかしらと、想いを馳せたものです。
リフォームの内容は、余り覚えていないのに、アンティーク扇風機が脳裏に擦り込まれ、「いつか、あんな扇風機を買おう」と思ったのでした。

数年後、インテリアの好みの変化に伴い、ふと、あの時のことを思い出して、アンティーク扇風機探しが始りました。
ところが、いざ探すと以外に見つからないもので、「形はいいけどシルバーではね」とか。
「本物のアンティークだけど、値段は高いし、ちゃんと使えるんだろうか・・・」と不安になったりで、なかなか出会えませんでした。

それが、ちょっと立寄った『ぬくもり工房』(浜松・館山寺近くのShopで、“さんぽ道”を設計施工した所)で、写真の扇風機に出会い、「ただ回るだけのシンプルな構造がよろしい」と、即決。
今時の樹脂で出来た軽い扇風機とは違って、国内産の鋳物製で、どっしりと重く頑丈そう。羽根が外れないのは難ですが、これならアンティークになるわけです。
風力が強いので、寝る時は遠くから風を送るようにしていますが、夏のインテリアにもなっている扇風機です。

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