我が家へ来た当初は、身を隠したくて狭い所へ入り込んだソラが、その日の夕刻には、尻尾を立てて好奇心のままに部屋を探検しだした。
おとなしそうに見えたけど、けっこう活発な子で、若いってことなんだなぁ。
来て早々に寄ってきたチビには、今でも視界に入ると威嚇してる。
ソラにハァーとされてきょとんのチビ。ハナがチビに対して威張るのとは、ちょっと違う。
遠くで観察のミミだと敬遠する。ひょっとしたら観察じゃなくて、シカトしてるのかも。母さんの愛情が減るかもしれないとか・・・?
神経質なハナは、ソラと顔を合わせたくないようで、隠れ家で過ごす時間が長くなった。
そうした先住猫たちの反応をよそに、部屋じゅうを探検して遊び、眠たくなったら狭い所で寝ている。
その場所が、広々とした息子の部屋ではなく、ハナの隠れ家のある最下段ときてるから面白い。

トイレ脇の幅45センチほどの物入には、棚が2段有り、手前をカーテンで覆っている。
一番上の棚に置いた籠がハナの隠れ家で、洗面の棚から、カーテンを除けて飛び移って篭る。けっこう快適で、雷や花火の音に怯えるミミの避難場所にもなっている。

中段は、日用雑貨のストックと良く使う道具類を収納し、最下段には灯油のポリタンクやバケツ、ホース、ネコトイレの掃除道具などを収納してて、ソラはポリタンクとバケツの隙間が落ち着くらしい。

私がベッドに移動すると、じきに猫たちも来て、それぞれのポジションを確保する。
チビは足元、ハナは私の胸か背中辺りだけど、先に来たミミに場所を取られると鳴きながら抗議するが、早い者勝ちとばかりのミミ。
結局、私がハナを抱き上げて、お腹の辺りに落ち着かせ、ミミとハナとで川の字になって寝るのが、初夏からのしきたりになった。

そこへソラ・・・といっても、ソラはまだ人と一緒に寝る習慣が無い。
夜も9時半を過ぎるとベッドインする私たちをよそに、いつまでも闊歩してるので、落ち着かないハナが鳴きやまない。
しばらくソラは、ドアを閉めた息子の部屋で夜を過ごしてもらうことにした。

名前を呼ぶと、キュゥーと小さな声で答えて擦り寄ってくる、甘えん坊のソラ。相手をしていると、それを横目で見てるミミ。「私だって甘えたいんだから」と、鳴いて主張するハナ。
それぞれへのスキンシップと心のケアも大切でだし、まぁ一週間もすれば、それぞれが折り合いをつけて、共に暮らすことを認知するんだと思う。

台風16号の影響なのか、夜半から風を伴った雨が降り、暗い朝を迎えた。
こんな雨の日の公園猫たちは、どこで過ごしてるんだろう、ご飯は・・・と、膝に乗ってきたソラを撫でながら、思いを馳せる。