風もなく暖かそうな日差しに誘われ、約一ヶ月ぶりに散歩へ行ってきた。
冬景色の緑地公園の野鳥のさえずりを聴きながら、半周を過ぎた辺りで、コンロに薬缶をかけてきたのを思い出した。
珈琲一杯分の水量だから、今ごろ空焚きになってセンサーが働き、ガスの火は止まってるかもしれない。
それでもジョギングに変えて、家路を急いだ。大切な銅の薬缶が心配だった。
途中の民家の生垣で、水仙の蕾が膨らみ始めたのを目の端に留めつつも、心は駆け足だ。
心臓が煽り過ぎない程度のつもりが、何年も走ったことがないから、ばくばくしている。
階段を駆け上がり、ドアを開けて真っ先にキッチンへ飛び込んだ。
と・・・薬缶の水は入れたままの水量・・・なんのことはないコンロに薬缶を載せたものの、ガスは点火してなかったのだった。
安堵の珈琲を味わいながら、頭の回線が途絶えてしまった思い込みに胸をなでおろす。